地方自治体の業務の大半は、調査ものと呼ばれる業務です。
事業系の部署と事務系の部署で比べてみると、特に事務系の部署では、その傾向が顕著に見らます。

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調査ものとは?

調査ものとは、ある事柄について、基礎的なデータを収集する業務といえます。
これでは、漠然としすぎていて、何のことだか、分かりづらいですよね。

以下に、データの収集目的別に、調査もの業務を分類したものを挙げ、その後で、それぞれについて、細かく説明します。


  • 国や地方自治体が公表する統計情報のための、基礎的なデータを収集する統計調査
  • 国や地方自治体が新たな施策を実施もしくは計画するために、基礎的なデータを収集し、現状を把握することを目的として行われる事前調査
  • 何か重大な事件や問題が起きた場合に、同種の事件や問題が、全国で過去にどの程度起きていたのかを、国が調査し、結果を公表するために、緊急に行われる調査

統計調査

統計調査と一口に言っても、様々な種類の統計があります。
以下に、国が実施する統計調査で地方公共団体の業務に関わる調査について、いくつかの例を挙げて説明します。

※内閣官房、人事院、内閣府、外務省、財務省、防衛省の各府省においても各種統計調査が実施されていますが、地方公共団体の業務に関わる統計調査がないため、ここでは挙げていません。

総務省の実施する主な統計調査

<li><span class="black b">国勢調査</span></li>
国勢調査は、日本で行われる統計調査の中で最も大規模な統計調査です。
国内の人口や世帯の実態を明らかにすることを目的として、日本に住む全ての人及び世帯を対象に5年に1度実施されています。

調査結果は、国や地方自治体の政治・行政において利用されるのみならず、民間企業や研究機関でも広く利用され、そのような利用を通じて国民生活に役立てられています。



  • 住宅・土地統計調査
  • 日本の住宅とそこに居住する世帯の居住状況、世帯の保有する土地等の実態を把握し、その現状と推移を明らかにする調査です。

    調査結果は、住生活基本計画、土地利用計画などの諸施策の企画、立案、評価等の基礎資料として利用されます。



  • 家計調査
  • 家計調査は、一定の統計上の抽出方法に基づき選定された全国約9千世帯の方々を対象として、家計の収入・支出,貯蓄・負債などを毎月調査しています。
    調査結果は、国の景気動向の把握、生活保護基準の検討、消費者物価指数の品目選定及びウエイト作成などの基礎資料として利用されるほか、地方公共団体、民間の会社、研究所あるいは労働組合などでも幅広く利用されています。

    法務省の実施する主な統計調査

    <li><span class="black b">戸籍統計</span></li>
    
    所掌事務の処理の状況等を明らかにし、施策の基本資料とすることを目的として実施されています。

    文部科学省の実施する主な統計調査

  • 学校基本調査
  • 学校に関する基本的事項を調査し、学校教育行政上の基礎資料を得ることを目的として実施されています。



  • 公立学校施設実態調査
  • 公立学校の施設整備に係る予算の作成及び執行に関する資料の作成に伴う関連数値の把握を目的として実施されています。



  • 地方教育費調査
  • 学校教育、社会教育、生涯学習関連及び教育行政のために地方公共団体から支出された経費並びに授業料等の収入の実態及び地方教育行政機関の組織等の実態を明らかにして、国・地方を通じた教育諸施策を検討・立案するための基礎資料を得るために実施されています。

    厚生労働省の実施する主な統計調査

    <li><span class="black b">国民健康保険実態調査</span></li>
    
    国民健康保険における保険者の保険料(税)賦課状況及び保険料(税)と所得との相関関係、国民健康保険被保険者の属する世帯の状況、保険料(税)賦課状況及び被保険者の年齢、職業等の状況並びに被保険者の異動状況等を調査し、国民健康保険の健全な運営を図るための基礎資料を得ることを目的として、実施されています。



  • 後期高齢者医療制度被保険者実態調査
  • 後期高齢者医療制度における後期高齢者医療広域連合の保険料賦課の状況及び被保険者の年齢、所得等を調査し、後期高齢者医療制度に係わる基礎資料を得ることを目的として、実施されています。



  • 国民生活基礎調査
  • 保健、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画及び運営に必要な基礎資料を得るとともに、各種調査の調査客体を抽出するための親標本を設定することを目的として、実施されています。

    農林水産省の実施する主な統計調査

    <li><span class="black b">農林業センサス</span></li>
    
    日本の農林業の生産構造や就業構造、農山村地域における土地資源など農林業・農山村の基本構造の実態とその変化を明らかにし、 農林業施策の企画・立案・推進のための基礎資料となる統計を作成し、提供することを目的に、実施されています。



  • 漁業センサス
  • 日本の漁業の生産構造、就業構造を明らかにするとともに、漁村、水産物流通・加工業等の漁業を取り巻く実態と変化を総合的に把握し、新しい水産基本計画に基づく水産行政施策の企画・立案・推進のための基礎資料を作成し、提供することを目的として、実施されています。

    経済産業省の実施する主な統計調査

    <li><span class="black b">経済センサス‐活動調査</span></li>
    
    全産業分野の売上(収入)金額や費用などの経理項目を同一時点で網羅的に把握し、事業所・企業の経済活動を全国的及び地域別に明らかにするとともに、事業所及び企業を対象とした各種統計調査の母集団情報を得ることを目的として、実施されています。



  • 工業統計調査
  • 日本の工業の実態を明らかにし、産業政策、中小企業政策など、国や都道府県などの地方公共団体の行政施策のための基礎資料となります。また、日本の経済統計体系の根幹を成し、経済白書、中小企業白書などの経済分析及び各種の経済指標へデータを提供することを目的として、実施されています。



  • 商業統計調査
  • 商業を営む事業所について、産業別、従業者規模別、地域別等に従業者数、商品販売額等を把握し、商業の実態を明らかにし、商業に関する施策の基礎資料を得ることを目的として実施されています。
    中小企業施策を中心とする流通関連施策の立案、実施の基礎資料や所得推計、構造分析等の基礎資料として、利用されています。

    国土交通省の実施する主な統計調査

    <li><span class="black b">道路統計調査</span></li>
    
    わが国唯一の道路(道路法第3条に基づく、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道)に関する統計調査であり、社会状況に対応した道路整備計画等の立案、策定及び道路施設の管理等、今後の道路行政に資するための基礎資料を得ることを目的として実施されています。

    環境省省の実施する主な統計調査

    <li><span class="black b">悪臭防止法施行状況調査</span></li>
    
    悪臭防止行政の一層の推進を図るため、毎年度、全国の都道府県、市及び特別区を通じ、悪臭防止法に基づく各種措置の施行状況等について調査が、実施されています。

    事前調査

    これは、国や地方自治体がこれから行おうとする施策のために、実施される調査であり、基本的にその結果を公表することは、目的とされていません。

    緊急に行われる調査

    何か大きな事件等が起きた場合に、国が調査をして、その結果を公表するというようなことが、よくあります。
    そうした場合には、国から地方自治体へ、その調査についての依頼がなされます。


    こうした調査は、特に、教育の分野で多く行われる傾向にあります。

    たとえば、体罰の問題や、いじめの問題、最近の例では、教科書会社による教員への謝礼問題など、こうした問題がニュースで取り上げられるたびに、国は調査を行い、その結果を公表します。

    このようにして、国は仕事をしています、ということをアピールをするわけです。

    調査の具体的な流れ

    ここで、国が8月初旬に、調査の実施を依頼する文書を各都・道・府・県知事宛に発出し、12月中旬に国が調査の結果を公表する予定である場合について説明します。

    まず国が、各都・道・府・県へ、域内の自治体の調査結果をとりまとめて報告するよう依頼します(報告期限は10月下旬)。

    国から依頼を受けた各都・道・府・県は、都・道・府・県内の各出張所へ、調査を実施し、結果を都・道・府・県へ報告するよう依頼します(報告期限は9月下旬)。

    各出張所は、さらに各域内の各市・区・町・村へ、調査を実施し、結果を各出張所へ報告するよう依頼します(市・区・町・村に調査の依頼が届く頃には、間にお盆の期間をはさむため、8月下旬になっています。そして報告期限は9月中旬です。)。

    各出張所から依頼を受けた各市・区・町・村では、調査票に回答した結果を、各出張所へ報告します。

    域内の各市・区・町・村から報告を受けた各出張所は、域内の各・市・区・町・村の報告をとりまとめ、各出張所の回答として、都・道・府・県へ報告します。

    域内の各出張所から報告を受けた都・道・府・県は、域内の自治体の報告をとりまとめ、都・道・府・県の回答として、さらに国へ報告します。

    各都・道・府・県から報告を受けた国は、都・道・府・県からの報告をとりまとめ、調査結果を公表します。



    このように、国から始まって、市区町村のところまで降りる頃には、調査ものの報告期限は、あまり猶予のないものとなります。

    特に、緊急で行われる調査ものの場合には、国も調査結果の公表を急ぐため、通常よりもさらに日数のない中で、調査ものの業務をこなさなければならないことも、ままあります。

    こうした業務が、地方自治体の事務系部署の日常業務の大半を占めると言っても過言ではないのです。

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    まとめ

    • 調査ものには、統計調査、事前調査、緊急に行われる調査がある
    • 調査ものは、どの部署でも行われる業務
    • 事務系部署では、調査ものへの回答の業務が、大半を占める場合がある



    このページで挙げた以外にも、国では、実に様々な統計調査が行われています。
    ぜひ、政府統計の総合窓口や、総務省統計局のページで、どんな統計調査が行われているのか確認してみてください。