ここでは「コミュ障」の人が面接において、適切に受け答えできるようになるための役立つ情報を紹介します。
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面接試験の持つ問題
まずは、「面接」という選考方法がどのように位置づけられているのかについて、東洋経済オンラインに掲載された「日本の採用面接が人をちゃんと見抜けない理由」という記事から引用しつつ紹介します。
そもそも採用試験とは、求職者が入社後にどれだけ活躍するかを予測するために行われるものです。アメリカでは、その予測がどのくらい妥当なものであったかを解析する研究も進んでいます。そうした研究によれば、「適性検査」「グループディスカッション」「ワークサンプル(実際に仕事をさせてみること)」「面接」といったさまざまな採用選考の結果と、入社後の評価を比較検証したところ、面接の妥当性が最も低いことが明らかになりました。
採用選考の中で最も妥当性が低いとされるフリートーク面接ですが、それでは妥当性が最も高い選考方法は何でしょうか。答えは「ワークサンプル」です。
これは実際に仕事をやらせてみて、その作業成績を評価する方法であり、例えば出版社が編集者を採用する場合に、実際に編集作業を行ってもらうような選考方法です。プログラミングやアートなどの職種では、数十年以上前から通常の面接ではなく、成果物を披露しつつ説明してもらう形式の選考が実施されています。
これらの研究結果は、ある意味、当然であるといえるでしょう。「言うは易く行なうは難し」という故事に代表されるように、私たちは”口で言うだけのことと、それを実際に行うこととの間には大きな隔たりがある”ことを経験的に知っているからです。
であれば、採用前の面接試験でのパフォーマンス(言葉)と、採用後の仕事におけるパフォーマンス(行い)に相関がみられないとしても、それは当然といえます。
また、実際の仕事の作業評価に基づく「ワークサンプル」が最も妥当性の高い採用試験であることも当然の帰結といえます。
なぜならば、ワークサンプル(行い)≒就職後の仕事におけるパフォーマンス(行い)に他ならなないからです。同じものを評価しているのですから、評価の妥当性が高くなるのは、当たり前のことなのです。
https://toyokeizai.net:443/articles/-/270361 - 2019年3月27日 10:02 - ウェブ魚拓
https://toyokeizai.net:443/articles/-/270361?page=2 - 2019年3月27日 10:06 - ウェブ魚拓
https://toyokeizai.net:443/articles/-/270361?page=3 - 2019年3月27日 10:08 - ウェブ魚拓
「コミュ障」のための面接対策
ここまでで確認してきたように、面接試験は構造的な欠陥をはらんでいる選考方法であるといえます。しかし、現状これを避けて通ることはできないのですから、公務員試験受験者の立場からすれば、面接試験の批判をしたところで何も始まりません。
ここで重要なことは、そのような問題を持つ面接試験で正しく評価されるためにはどうすべきかを知り、それを実践することです。
面接試験で評価されるために実践すべきこととは、「聞かれていることに対して適切に答える」ことです。
いまさらそんな当たり前のことを言われてもと思うかもしれませんが、面接試験で落ちてしまう「コミュ障」の人は、この当たり前のことができていないのだと思います。
質問の意図を知る
面接試験で求められているのは「聞かれていることに対して”適切な”答えをする」ことですが、適切に答えるためには、まず何を聞かれているのかを正しく把握することが必要となります。
面接試験では、様々な質問が面接官からなされますが、span class=”b”>面接試験で問われているのは、つまるところ「あなたは一体どのような人間か?(何ができるのか?)」というその一点に尽きます。
面接の場で面接官はあなたのことを知るための質問を、時には角度を変え、時には表現を変えて投げかけてくるのです。
例えば、定番といわれるような質問とその意図について、「マイナビ2020オフィシャル就活BOOK
内定獲得のメソッド 面接担当者の質問の意図」より一部を引用します。
- 今日はどうやってここまで来ましたか?
- 最初にこの質問をすることで、「簡潔に、要領を得た話し方ができるかどうか」を確かめたい。
- 「質問をどのように受け取り、回答するか」を知りたい。
- 場の空気を和ませ、リラックスさせようとしている。
- あなたの長所はどんなところですか?
- 「自分自身の長所をしっかり理解しているか」を把握したい。
- 「長所をどのように生かしていこうと考えているのか」を知りたい。
- 「その長所があったからこその成果や得たもの」を知りたい
- 「どのような人間なのか」を具体的に知りたい
- 「回答に一貫性があるかどうか」を確認したい
- これまでに一番辛かった体験は何ですか?それをどうやって乗り越えましたか?
- 「辛いことに対し、どのように考え、乗り越えるか」その内容と対策方法を知りたい。
- 「辛かった体験を、今どのように生かしているか」を知りたい。
- 「ストレス耐性がどのくらいあるか」を探りたい。
上記のような質問に本来の意図とは、かけ離れた返答をしていては、評価を得ることはできません。
的外れな返答の積み重ねにより評価がつかず、結果、面接試験で落ちてしまうのです。
質問に対して適切に答える
面接の場で質問に対して適切に答えるということを、もう少し具体的に言うと、「何ができるのかを具体的に示す」ということです。
質問に対して、考えていること・思っていることを答えるだけでは、何ができるのかを示すことにはなりませんし、具体的に示すことにもなりません。
面接の場で評価されるためには、採用後の評価と相関の低いと考えられる単なる思考を伝えるのではなく、相関の高いと考えられる思考に基づいた行動について具体例を示して面接官に伝えることが必要となります。
先ほど引用した質問の例について回答例を引用すると、以下のようになります。
- 今日はどうやってここまで来ましたか?
- あなたの長所を教えてください
- これまでに一番辛かった体験は何ですか?それをどうやって乗り越えましたか?
>OK回答例:自宅からバスと地下鉄を利用してきました。自宅からの所要時間は約50分です。事前に下見をしていたので、迷わずに来ることができ、ほっとしています。
→ 事前に下見をしたという行動を示すことにより、計画性があることをアピールできています。
NG回答例:まず家から最寄りの○○駅まで自転車で10分かかります。そして、最寄りの駅から△△駅まで30分かかり、そこで乗り換え、□□駅まで10分。□□駅から御社まで徒歩5分かかったので、55分かかりました。
→ 事実の列挙に終始して話が冗長なうえ、自己アピールにつながる話ができていません。
OK回答例:努力を惜しまない点です。私は自分の目標を達成するために努力を惜しみません。高校時代はバスケットボール部に所属していましたが、小柄な私は一度も試合に出ることができませんでした。しかし、身長が足りないのなら、ほかの部分で補い、力をつけたいと考え、自主トレを積極的に行いました。雨の日も風の日も毎日5km走ることを1年半続けました。このような苦しいトレーニングを続けられたのは、試合に出たいという目標があったからこそだと思います。その結果、3年生の後半には試合に出られるようになりました。
→ 「努力を惜しまない」という長所について、目標を達成するための苦しいトレーニングに励んだという具体例を交えながら、説明できています。
NG回答例:仲間を大切にする点です。私は、サッカーサークルに入っているのですが、試合に勝つにはチームワークが欠かせません。チーム全員が試合中にそれぞれの動きを気にかけるだけでなく、練習中やサークル活動外でもコミュニケーションをとることが大切です。そこで、サークル仲間と飲みに行くなど、コミュニケーションをとるようにしました。その結果、チームワークが強化され、大学リーグでは優勝できました。
→ 肝心の「仲間を大切にする点」が長所であると言えることを示す具体的なエピソードがありません。また、「仲間を大切にする」ことが「チームワークの強化」にどう繋がったのかを示す具体的なエピソードもなく、「大学リーグで優勝」したことと「仲間を大切にする」ことの繋がりがみえません。
OK回答例:所属するゼミが、解散の危機に陥ったことです。学科内に、学生発信で新たなゼミを設立しましたが、参加者が少なく、解散の危機に陥りました。その原因は参加者が受け身で退屈な点だと気づき、討論形式の参加型ゼミに内容を変更しました。その結果、40人以上の学生からの参加の希望がありました。この経験を通じて、周囲の賛同を得るためには、要望を理解し、共に良さを実感することが重要だと学びました。
→ 問題の原因を取り除くために、どのような方策を取ったのかが具体的に示されているとともに、その経験から何を学び取ったのかが説明できています。
NG回答例:高校3年生の時に大学受験に失敗し、1年浪人したことです。当時はとても辛くて、半年くらいはやる気が起きませんでした。しかし、やはり大学には行っておくべきだと思い、勉強に励み、今の大学に受かりました。
→ 「勉強に励んだ」では漠然としすぎているため、励んだ内容を具体的に示す必要があります。この例の場合であれば、面接官の関心は具体的にどのように励むことで辛かったことを乗り越えたのか、という点にあります。
自己分析と自己理解
面接の場で求められていることが、自己PRであるということはすでに紹介しましたが、その自己PRを行うために、必要不可欠なのが自己分析と自己理解です。
「彼を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉にもあるように、適切な自己PRを行うためには、その土台となる自己理解が欠かせません。
私の偏見かもしれませんが、コミュ障の人は、基本的に自己理解が足りていないのではないかと思います。
これは、私自身の過去を振り返ってみても当てはまることで、面接対策としたての本格的な自己分析というものを行ったことはありませんでした。
それはなぜなのかとあらためて考えてみると、うすうす気づいていた「できない自分」があらわになってしまうから、だったのではないかと思います。
「自分はまだ本気出してないだけ」と思い込ませていたものが、実は「本気でやった結果がこれ」ということが明らかになってしまうかもしれないのです。
しかし、そうした目を背けていた現実に直面することこそが自己理解のスタートラインにたった状態であるといえます。
そして、自己分析を行ううえで重要なことは、悪い面(できないこと、苦手なこと)ではなく、良い面(できること、得意なこと)に目を向けるようにすることです。
面接の場で求められていることは、あなたには一体何ができるのかであり、できないことを明らかにする場が面接なのではありません。
自己分析・自己理解の手助けとしては、以下の本が役立ちます。
立ち居振る舞い
話し方
それほど労力をかけずにでできることとして、面接では「適切な声量でハキハキと、ゆっくり自信をもって質問に答える」ようにしてみるのが良いでしょう。
これとは逆に、「小さい声でボソボソと、早口で自信なさげに質問に答える」場合どうなるのでしょうか。
- 小さい声でボソボソと
- 早口で → 「落ち着きがない」、「覚えてきたことをただそらんじているだけ」といった様な評価につながってしまう
- 自信なさげ
→ 聞き返してもらえるならまだましで、答えている内容がよく聞き取られていないまま面接が進むこともある(当然評価されない)
→ どんなに評価されそうなことを言っていたとしても、「本当か?」とまず疑いから入られる
そのほかにも、「暗い」、「消極的」、「はっきりしない」といったネガティブな印象を相手に与えてしまいます。
一度そうしたネガティブなイメージを持たれてしまうと、ハロー効果(光背効果)によって、その後の評価が不利に働いてしまう可能性があるので、それを避けるためにも、面接では「適切な声量で、自信をもってハキハキと質問に答える」ように心掛けると良いででしょう。
動き方
話し方とともに、ゆっくり目に動くようにすることで、「落ち着きがある」という印象を相手に与えることができます。
よく言われていることですが、面接の場で行う一連の動作(やり取り)を通して録画することで、自分の姿を客観的にとらえることができ、改善点を見出しやすくなるでしょう。
最後に、「コミュ障のための面接戦略」の目次からいくつかの項目を抜粋してみますので、気になる項目があったならば、目を通してみることをおすすめします。
- 第4章 コミュ障のための基本の「キ」
- ゆっくりとした動きを心がける
- 「緊張してます」と言葉にする
- 話さないよりは話し過ぎるほうがいい
- 他13項目
- 第5章 コミュ障のための面接心得
- 面接の質問は「あなたはどんな人ですか?」だけ
- 「CAN8割、WILL2割」を頭に叩き込め
- 面接官は「すごいこと」を求めていない
- 他8項目
- 第6章 コミュ障のための自己アピール
- 1人でもいいから「他人」との関わりを
- 語り方で台無しにするな
- 他23項目
- 第8章 コミュ障のためグループディスカッション
- コミュ障向きなのは「整理」と「まとめ」
- サポートに徹して流れをつくれ
- 他9項目