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教養試験

※No.1~No.11については、著作権の都合により非掲載

No.12

サッカーの地区大会がトーナメント方式で行われ,A~Hの8チームが参加した。試合について次のことが分かっているとき,「優勝チーム」と「決勝戦での優勝チームの得点」の組合せとして正しいのはどれか。

 ○ トーナメントの組合せは図のとおりであった。
 ○ 全ての試合は1点以上の得点の差が9いて勝敗が決まり,引き分けはなかった。
 ○ 各チームの得点の合計と失点の合計は表のとおりであったが,一部は未記入のままとなっている。

優勝チーム 決勝での優勝チームの得点
1. B 3
2. B 4
3. D 1
4. H 3
5. H 4


No.13

A, Bの2人が下のような5×5のマス目の図が書かれた紙を1枚ずつ持ち,次のようなゲームを行う。

① Aは,自分の図の中の任意の二つのマス目に丸印を付ける。
② Bは,相手の図を見ずに任意の一つのマス目を指定する。
③ Aは,Bが指定したマス目及びその周囲のマス目にある丸印の個数を回答する。
  なお,Bが指定したマス目に対する「周囲のマス目」とは,例えばBが「イ2」を指定した場合にはア1,ア2,ア3,イ1,イ3,ウ1,ウ2,ウ3を指し,「ア4」を指定した場合にはア3,ア5,イ3,イ4,イ5を指す。
④ Aがどのマス目に丸印を付けたかをBが当てるまで②,③を繰り返す。

 Bが指定したマス目及びそれに対するAの回答が表のとおりであったとき,確実にいえるのはどれか。



1. Bが「ウ3」を指定しAの回答が「2個」であれば,丸印が付いた二つのマス目は特定される。
2. Bが「ウ3」を指定しAの回答が「1個」であれば,ア3に丸印がある可能性はない。
3. Bが「イ5」を指定した場合,Aの回答は必ず「1個」である。
4. Bが「ウ2」を指定した場合,Aの回答は必ず「1個」である。
5. Bが「エ2」を指定した場合,Aの回答は必ず「O個」である。


No.14

A~Gの一行は,4人が男性,3人が女性であり,旅行先のホテルにおいて,図のような位置関係のルームI~Ⅳの4部屋に分かれて宿泊した。ホテルにおける部屋割りについて,3部屋には2人ずつ,1部屋には1人が宿泊したことのほか,次のことが分かっているとき,確実にいえるのはどれか。

 ○男性と女性は別々の部屋だった。
 ○男性の泊まる部屋は隣り合っていた。
 ○AとCの部屋は隣り合っていた。
 ○AとDは男性で,別々の部屋だった。
 ○AとGは別々の部屋で,さらに隣り合っていなかった。
 ○Bは女性で,ルームIVに宿泊した。
 ○Fは1人で宿泊した。

  1. はルームIに宿泊した。
  2. BとGは同じ部屋に宿泊した。
  3. EとFの部屋は隣り合っていた。
  4. FはルームIIIに宿泊した。
  5. Gは男性である。


No.15

卓球サークルに所属するA~Hの8人のうち,A~Dの4人は紅チーム,E~Hの4人は白チームに分かれて,チーム対抗の紅白戦を2回行った。各回の紅白戦では,シングルスの試合を4試合行い,各チームの全員が出場した。対戦相手について,1回目の紅白戦では,紅チームのA~Dが,それぞれ白チームのE~Hのいずれかと対戦し,2回目の紅白戦では,全員が1回目の相手とは異なる相手と対戦したことのほか,次のことが分かっているとき,確実にいえるのはどれか。

 ○I回目にBと,2回目にDと対戦した白チームの選手がいる。
 ○1回目にGと,2回目にHと対戦した紅チームの選手がいる。
 ○Dが1回目に対戦した白チームの選手とは,2回目にはCが対戦した。
 ○AはEと対戦した。
 ○CはGとは対戦しなかった。

  1. 1回目にAはHと対戦した。
  2. 2回目にDはFと対戦した。
  3. BともCとも対戦した選手がいる。
  4. CはFとは対戦しなかった。
  5. DはHと対戦した。


No.16

A~Eの学生5人における政治学,経済学,行政学,社会学,法律学の5科目の履修状況について次のことが分かっているとき,確実にいえるのはどれか。

 ○5人が履修している科目数はそれぞれ3科目以内である。
 ○政治学を履修している者は2人いる。
 ○経済学を履修している者は2人おり,そのうちの1人はAである。
 ○行政学を履修している者は3人おり,そのうちの1人はAである。
 ○社会学を履修している者は3人おり,そのうちの2人はAとDである。
 ○法律学を履修している者は4人いる。
 ○AとEが2人とも履修している科目はない。
 ○Cは政治学も社会学も履修していない。

  1. Bは政治学を履修していない。
  2. Bは行政学を履修していない。
  3. Cは経済学を履修していない。
  4. Dは経済学を履修していない。
  5. Dは行政学を履修していない。


No.17

体育館にいたA・B・C・ 図書館にいたD~Gの計7人が次のような発言をしたが,このうちの2人の発言は正しく,残りの5人の発言は誤っていた。正しい発言をした2人の組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし,7人のうちテニスができる者は2人だけである。

 A:「私はテニスができない。」
 B:「テニスができる2人はいずれも図書館にいた。」
 C:「A,Bの発言のうち少なくともいずれかは正しい。」
 D:「Eはテニスができる。」
 E:「Dの発言は誤りである。」
 F:「D,Eの発言はいずれも誤りである。」
 G:「図書館にいた4人はテニスができない。」

  1. A,C
  2. A,G
  3. B,F
  4. C,E
  5. E,G


専門試験

No.1

政治の制度と過程に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

  1. 税制や社会保障制度のように外国に片迦した政策課題を解決するために採用される施策が,国ごとに違うことの理山を説明するにあた9ては,それぞれの国の制度に注目したアプローチがなされることが多い。こうしたアプローチのうち,政治的アクターの行動とは切り離されたフォーマルな制度の仕組みに専ら注日したものが歴史的新制度論と呼ばれる。

  2. 政府の規制緩和によって市場の活性化が進んだ場合,以前からその市場に参加している企業の利益は増大することが多い。この増大した利益は政治的レントと呼ばれるが,企業は政治的レントを獲得するために政府に対して規制緩和を進めるよう様々な働きかけを行う。こうした活動はレントシーキングと呼ばれる。

  3. 与党政治家と官僚の関係を「本人一代理人関係論」(プリンシパルエージェント理論)で見た場合,与党政治家が「本人」(プリンシパル),官僚が「代理人」(エージェント)となるが,一般的に「本人」は「代理人」を十分に監視しきれないため,「代理人」が自己利益のために「本人」の意向から逸脱した行動をとることが往々にして生ずる。こうした逸脱はエージェンシー・スラックと呼ばれる。

  4. 一般的に,ある政策領域に関して,それぞれの政党にとってこれ以上は妥協できないという限界点が存在する。こうした限界点の存在により,その政策領域に含まれる法案の審議において,政党間の合意が困難となることがしばしばある。このように合意を困難とするような,それぞれの政党にとっての政策上の限界点をE.イマグートは拒否点(veto points)と呼んだ。

  5. 今日の多元的社会には,極めて多様な政策的要求が内在しているoこれらの政策的要求は,政治のアリーナにおいて,様々な利益集団によってそれぞれに異なるチャネルを通じて表出されるが,それらが実際にどの程度実現するかは,それが表出されたチャネルの数や特性によって大きく異なってくる。このことは経路依存性と呼ばれる。


No.2

民主主義に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

  1. R.パットナムは、民主主義を支える基盤として市民の政府に対する信頼感や市民相互の互酬性の規範。活発な市民的・政治的参加などを挙げ、またこれらを増大させる機能を果たすIT技術や通信回線などのインターネット利用のためのインフラストラクチャを社会関係資本(social capital)と呼んで、その重要性を指摘した。

  2. 丸山眞男は、第二次世界大戦後の経済的な高度成長期において、日本社会における垠本的な論理が「自然」から「作為」に変化したこと。言い換えれば「である」という価値観から「する」という価値観への転換が成功したことにより、政治において、戦後民主主義の発展が可能になったと論じた。

  3. R.ノージックは、個人の所有権に焦点を置いた独自の自由主義理論を展開した。その中でノージックは、人が正当な手続によって取得した所有物を自分の思うがままに処分する絶対的な権利を「権原」と呼び、国家は人々のこうした「権原」を等しく保護する義務を十分に果たさなくてはならないとして福祉国家を擁護した。

  4. M.サンデルは、J.ロールズの正義の原理について、そこでは人間が共同体の規範とは無関係に、独立した目的、利害、善悪の観念をもち、何の負荷も課されていない者として描かれており、「自己」はそれが所属する社会によって構成されているという側面を捉えそこなっている、としてその限界を指摘した。

  5. C.ムフは、多元的な社会において多様な構成員が必要な情報を得た上で討議を重ね、社会的に何らかの合意を目指すことを目的とする熟議(討議)民主主義の重要性を論じ、こうした熟議のプロセスをサポートするための制度として「熟議型世論調査」(deliberative poll)を提案した。


No.3

政党と議会に関する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

  1. S.リプセッタとS.ロッカンは、米国における政党システムの形成過程を考察し、社会の中に埋め込まれた様々な利害対立(社会的亀裂)に沿った形で政党が形成され、有識者の問に自分の利害と一致する立場の政党への帰属意識が生ずることにより、政党間の対立構造が長期的に固定化されるという凍結仮説を唱えた。

  2. 複数の政党が連立政権を組むために連合を形成するに際して、それぞれの政党の交渉力を最大化するという点で合理的であるのは、過半数の議席確保のために余分な政党を含まない最小勝利連合であるとされる。W.ライカーは理論的な視点から、そうした最小勝利連合の中でも、最も少ない議席で過半数を確保できる最低規模勝利連合が、政党間の交渉によって形成されるはずであると論じた。

  3. 我が国において、いずれの政党も支狩しない「政党支持無し層」の増加は、1990年代には小さなものに留まっていたが、2000年代に入り顕著に大きなものとなった。これは1990年代においては選挙制度の改変や政党の再編などにより政党政治の活性化が見られたのに対し、2000年代には二大政党化による選択肢の減少などが生じたためである。

  4. 我が国の自民党長期政権下では、様々な手続きが法案作成過程の中に事実上の制度として埋め込まれていたが、その代表的なものの一つに「与党による事前審売」がある。これは内閣が法案を提出するに際して、与党の事前承認と両院での迅速な可決を担保するものであるが、同時にいわゆる族議員の影響力を遮断するという機能も果たした。

  5. 議院内閣制のもとでの執政府―議会関係において、どれだけ執政府が議会をコントロールできるか、反対に議会がどれだけ執政府に影響力を行使できるかは、執政府が議会与党をコントロールできる程度に依存している。すなわち、与党の党規律が強いほど、執政府が議会与党をコントロールする力が弱まり、結果として議会の影響力が大きくなると考えられる。


No.4

選挙と投票行動に間する次の記述のうち、妥当なのはどれか。

  1. 政党の再編期には、連続する二つの選挙の間で各政党の得票率に大きな変化がみられることが多い。こうした選挙間の変化を分析するために、M.ペゼアンはエレクトラル・ヴォラティリティ(electoral volatility)あるいは選挙変易性と呼ばれる指標を考案した。この指標はある選挙から次の選挙こかけての全政党の得票の増減(%)の絶対値を合計したものに等しい。
  2. 小選挙区制と比例代表制を組み合わせた制度の一つにドイツの連邦議会選挙が採用している小選挙区比例代表併用制度がある。ドイツでは、小選挙区で獲得した議席数が比例投票による議席配分を上回るような政党が出ることがある。その場合には、当選者が本来の議員定数を上回る、すなわち超過議席が発生する結果となる。
  3. 中位投票者定理は、いかなる選挙制度の下でも、競争関係にある政党の政策は中位投票者(メディアン・ヴォーター)、すなわちその政策次元上で全有権者の中位(メディアン)に位置する有権者の立場へと収斂していくことにより、有権者の政策選択の幅が狭くなることを理論的に示したものである。
  4. 業績投票は、政府・与党の実績についての評価を行い、これを高く評価すれば与党に、低く評価すれば野党に投票するという投票行動のスタイルである。これを行うには政府・与党の実績に関する情報の収集と分析をしなければならないため、空間モデルによる争点投票と比歓して、有識者の意思決定のコストはより大きなものとなる。
  5. 投票行助に関する社会心理学的モデルを代麦するものとしてミシガン・モデルがある。このモデルにおいて投票行動に影響を与える三つの主要な心理学的変数とされるのは、政党帰属意識.争点態度、経済状況に関する認識であるが、このうち政党帰属意識はより長期的に形成される要因、他の二つはより短期的に形成される要因であるとされる。