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専門試験

No.1

日本国憲法に規定する法の下の平等に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 児童扶養手当は、児童の養育者に対する養育に伴う支出についての保障である児童手当法所定の児童手当と同一の性格を有するものであり、受給者に対する所得保障である点において、障害福祉年金とは性格を異にするため、児童扶養手当と障害福祉年金の併給調整条項は憲法に違反して無効であるとした。
  2. 旧所得税法が給与所得に係る必要経費につき実額控除を排し、代わりに概算控除の制度を設けた目的は、給与所得者と事業所得者等との租税負担の均衡に配意したものであるが、給与所得者と事業所得者等との区別の態様が正当ではなく、かつ、著しく不合理であることが明らかなため、憲法の規定に違反するとした。
  3. 会社がその就業規則中に定年年齢を男子60歳、女子55歳と定めた場合において、少なくとも60歳前後までは男女とも通常の職務であれば職務遂行能力に欠けるところはなく、会社の企業経営上定年年齢において女子を差別する合理的理由がないときは、当該就業規則中女子の定年年齢を男子より低く定めた部分は性別のみによる不合理な差別を定めたものとして無効であるとした。
  4. 憲法が各地方公共団体の条例制定権を認める以上、地域によって差別を生ずることは当然に予期されるが、その結果生じた各条例相互間の差異が合理的なものと是認せられて始めて合憲と判断すべきであり、売春取締に関する法制は、法律によって全国一律に、統一的に規律しなければ憲法に反するとした。
  5. 信条による差別待遇を禁止する憲法の規定は、国または地方公共団体の統治行動に対する個人の基本的な自由と平等を保障するだけでなく、私人間の関係においても適用されるべきであり、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒むことは、当然に違法であるとした。


No.2

日本国憲法に規定する労働基本権に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 勤労者の団結する権利は、労働者の団体を組織する権利であるとともに、労働者を団結させて使用者の地位と対等に立たせるための権利であり、警察職員、消防職員、自衛隊員にも保障されている。
  2. 勤労者の団体交渉をする権利とは、労働者の団体が、労働条件について使用者と対等の立場で交渉する権利であり、非現業国家公務員や地方公営企業職員以外の地方公務員が組織する職員団体が、当局との交渉の結果、労働協約を締結することも含まれる。
  3. 勤労者の団体行動をする権利は、労働者の団体が労働条件の実現を図るために団体行動をする権利であり、その中心は争議権であるが、現業の国家公務員や地方公営企業職員にもこの争議権が認められている。
  4. 最高裁判所の判例では、私企業の労働者であると、公務員を含むその他の勤労者であるとを問わず、使用者に対する経済的地位の向上の要請とは直接関係のない警察官職務執行法の改正に対する反対のような政治的目的のために争議行為を行うことは、憲法28条とは無関係なものであるとした。
  5. 最高裁判所の判例では、全逓信労働組合の役員が、職場大会に参加するよう職員を説得した上、数時間職場を離脱させた事件において、労働基本権は、すべての労働者に保障するところであり、業務の停廃が国民生活に重大な障害をもたらすおそれがある場合であっても、争議行為を禁止してはならないとした。


No.3

日本国憲法に規定する内閣又は内閣総理大臣に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 内閣は、法律の定めるところにより、内閣総理大臣及びその他の国務大臣で組織され、内閣総理大臣は、全ての国務大臣を国会議員の中から任命しなければならない。
  2. 内閣は、内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、総辞職をしなければならず、この場合には、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行う。
  3. 内閣総理大臣は、一般行政事務のほか、日本国憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定することができるが、政令には罰則を設けることが一切できない。
  4. 内閣総理大臣は、衆議院議員の中から国会の議決で指名され、国務大臣を任意に任命することができるが、国会の議決がなければ国務大臣を罷免することはできない。
  5. 内閣総理大臣は、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督するが、議案を国会に提出するのは内閣のみの権限であり、内閣総理大臣はその権限を有しない。


No.4

日本国憲法に規定する国会に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 衆議院が解散された場合、内閣は、国に緊急の必要があるときは参議院の緊急集会を求めることができるが、当該緊急集会において採られた措置は、次の国会開会の後10日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失う。
  2. 衆議院と参議院で予算について異なった議決をした場合は、衆議院の優越が認められているため、衆議院は両議院の協議会の開催を求める必要はなく、衆議院の議決が直ちに国会の議決となる。
  3. 内閣総理大臣の指名の議決について、衆議院が議決をした後、国会休会中の期間を除いて10日以内に参議院が議決しない場合、衆議院の総議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、衆議院の議決が国会の議決となる。
  4. 国の収入支出の決算は、先に衆議院に提出され、参議院で衆議院と異なった議決をした場合、両議院の協議会を開いても意見が一致しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる。
  5. 参議院が、衆議院の可決した条約の締結に必要な国会の承認を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に議決しない場合、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、衆議院の議決が国会の議決となる。


No.5

日本国憲法に規定する違憲審査権に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 警察予備隊の設置並びに維持に関する一切の行為の無効の確認について、現行の制度の下においては、特定の者の具体的な法律関係につき紛争の存する場合においてのみ裁判所にその判断を求めることができるのであり、裁判所が具体的事件を離れて抽象的に法律命令等の合憲性を判断する権限を有するとの見解には、憲法上及び法令上何等の根拠も存しないとした。
  2. 衆議院の解散は、直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為であるが、それが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の判断が法律上可能である場合には、かかる国家行為に対しても、裁判所の審査権が及ぶとした。
  3. 在外国民の投票を可能にするための法律案が廃案となった後10年以上の長きにわたって何らの立法措置も執られなかったとしても、国民に憲法上保障されている権利が違法に侵害されていることが明白なわけではなく、著しい不作為とまではいえないから過失の存在を認定することはできず、違法な立法不作為を理由とする国家賠償請求は認められないとした。
  4. 安全保障条約のような、主権国としての我が国の存立の基礎に重大な関係を持つ高度の政治性を有するものが、違憲であるか否かの法的判断は、純司法的機能を使命とする司法裁判所の審査になじまない性質のものであるから、一見極めて明白に違憲無効であっても、裁判所の司法審査権は及ばないとした。
  5. 裁判官が、具体的訴訟事件に法令を適用して裁判するに当たり、その法令が憲法に適合するか否かを判断することは、憲法によって裁判官に課せられた職務と職権であって、憲法は最高裁判所が違憲審査権を有する終審裁判所であることを明らかにしており、違憲審査権は、最高裁判所のみに与えられているとして、下級裁判所の違憲審査権を否定した。


No.6

行政法の法源に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 命令には、法律の個別具体の委任に基づく委任命令と、法律に基づくことなく独自の立場で発する独立命令があるが、いずれも行政機関が制定するものであるので、行政法の法源となることはない。
  2. 条約は、その内容が国内行政に関し、自力執行性のある具体的定めを含んでいる場合には、それが公布・施行されることによって国内法としての効力をもち、行政法の法源となる。
  3. 憲法は、国家の基本的な統治構造を定める基本法であり、行政の組織や作用の基本原則を定めるにとどまるので、行政法の法源となることはない。
  4. 下級裁判所の判決は法源となりえないが、最高裁判所の判決は先例を変更するのに慎重な手続を経ることを求められるので、行政法の法源となる。
  5. 条例は、必ず議会の議決を必要とするので行政法の法源となるが、地方公共団体の長が定める規則は、議会の議決を必要としないので行政法の法源となることはない。


No.7

行政法学上の行政行為の撤回に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 最高裁判所の判例では、都有行政財産である土地について建物所有を目的とし期間の定めなくされた使用許可が当該行政財産本来の用途又は目的上の必要に基づき将来に向って取り消されたとき、使用権者は、特別の事情のない限り、当該取消による土地使用権喪失についての補償を求めることはできないとした。
  2. 最高裁判所の判例では、優生保護法による指定を受けた医師が指定の撤回により被る不利益を考慮してもなおそれを撤回すべき公益上の必要性が高いと認められる場合であったとしても、法令上その撤回について直接明文の規定がなければ、行政庁は当該指定を撤回することはできないとした。
  3. 行政行為を行った処分庁の上級行政庁は、処分庁を指揮監督する権限を有しているので、法律に特段の定めがなくても、処分庁の行った行政行為を当然に撤回することができる。
  4. 行政行為の撤回は、その理由が行政庁の責めに帰すべき事由によって生じたときは、相手方の利益を保護する必要があるため、いかなる場合であっても、当該行政行為の効力をその成立時に遡って失わせる。
  5. 行政行為の撤回とは、行政行為が当初から違法又は不当であったと判明したときに、そのことを理由に行政庁が当該行政行為の効力を消滅させることをいう。


No.8

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に関するA~Dの記述のうち、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

A 行政機関の長は、本人の同意があるときに限り、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。
B 行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合であっても、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該保有個人情報を開示することができる。
C 日本に居住する外国人は、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができるが、外国に居住する外国人は、請求することができない。
D 行政機関の長は、保有個人情報の漏えい、滅失又はき損の防止その他の保有個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.9

行政不服審査法に規定する不服申立てに関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 行政庁の処分又は不作為について不服があるときは、審査請求又は異議申立てをすることができ、再審査請求は、法律又は条例に再審査請求をすることができる旨の定めがあるときに限り、することができる。
  2. 不服申立ては、代理人によってすることができ、代理人は、不服申立人のために、当該不服申立てに関する一切の行為をすることができるが、不服申立ての取下げは、特別の委任を受けた場合に限り、することができる。
  3. 処分庁の直近上級行政庁は、処分庁が申請に基づいてした処分を手続の違法又は不当を理由として裁決で取り消すときは、当該裁決の中で、改めて申請に対する処分をしなければならない。
  4. 審査請求が法定の期間経過後にされたものであるとき、その他不適法であるときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を棄却し、審査請求が理由がないときは、審査庁は、裁決で、当該審査請求を却下する。
  5. 異議申立てをすることができる処分につき、処分庁が誤って審査請求をすることができる旨を教示した場合において、その教示された行政庁に書面で審査請求がなされたときは、審査請求を受けた行政庁が裁決を行う。


No.10

国家賠償法に関するA~Dの記述のうち、判例、通説に照らして、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

 A 最高裁判所の判例では、検察官がした公訴の提起は、検察官が裁判所に対して犯罪の成否、刑罰権の存否につき審判を求める意思表示であり、検察官の心証は、判決時における心証と異なり、起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば足りるものと解するのが相当であるから、刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに違法となるものではないとした。
 B 最高裁判所の判例では、警察官のパトカーによる追跡を受けて車両で逃走する者が惹起した事故によって第三者が損害を被った場合において、当該追跡行為が国家賠償法の適用上違法であるというためには、追跡が現行犯逮捕等の職務を遂行する上で不必要であるか、又は予測される被害発生の具体的危険性の有無・内容に照らして追跡の開始、継続若しくは方法が不相当であることを要するとした。
 C 国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、重大な過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体はこれを賠償しなければならないが、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有しない。
 D 日本国憲法の基本的人権は外国人にも保障されるので、公務員の不法行為による被害者が外国人であるときは、いかなる場合であっても国家賠償法の規定は適用される。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD



No.11

民法に規定する失踪の宣告に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失うので、善意の場合であっても、法律上の原因を欠く不当な利益として、失踪の宣告によって得た財産の全てを返還しなければならない。
  2. 失踪の宣告がなされると、死亡したのと同じ扱いがなされるので、不在者は、仮に生存していたとしても宣告と同時に権利能力を剥奪される。
  3. 失踪の宣告は一律で強力な対世的効力をもつものであるから、単に事実上の利害関係を有する債権者も、失踪の宣告を請求することができる利害関係人に含まれる。
  4. 不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができ、当該宣告を受けた不在者は、失踪した時に死亡したものとみなす。
  5. 沈没した船舶の中に在った者の生死が船舶の沈没後1年間明らかでない場合に失踪の宣告を受けた者は、当該船舶が沈没した時に死亡したものとみなす。


No.12

民法に規定する時効に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 消滅時効とは、一定期間権利が行使されなかったことによってその権利が消滅するという制度をいい、債権は10年間、所有権は20年間権利を行使しないときは、消滅時効により消滅する。
  2. 催告による時効の中断は、6か月以内に裁判上の請求その他の本来の中断手続がとられなければ失効するが、失効した場合であっても、時効の完成を遅らせる効果がある。
  3. 時効の停止事由が生じた場合は、それまでに進行した時効は効力を失い、停止事由がなくなった場合には、再び時効が進行するが、停止前の時効期間は通算されない。
  4. 時効の中断事由には、請求、差押え、仮差押え又は仮処分、承認があるが、裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。
  5. 時効の利益は、時効が完成する以前に、あらかじめ放棄することができるので、時効の利益を放棄したのちには、その時効の効果を援用することはできない。


No.13

民法に規定する相隣関係に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができ、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、自らその根を切り取ることができる。
  2. 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができるので、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払う必要は一切ない。
  3. 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、他の分割者の所有地を通行することができるが、一部譲渡によって公道に通じない土地が生じた場合は、譲渡した土地を通行することができない。
  4. 土地の所有者は、境界付近の建物の修繕が必要な場合は、隣人の承諾を得なければその住家に立ち入ることができないが、承諾が得られないときは、承諾に代わる判決を得ることによって住家に立ち入ることができる。
  5. 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で境界標を設けることができ、境界標の設置、保存及び測量の費用は、土地の所有者と隣地の所有者が土地の広狭にかかわらず等しい割合で負担する。


No.14

民法に規定する所有権の取得に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか。

  1. ゴルフ場内にある人工池の底から領得したゴルフボールは、いずれもゴルファーが誤って同所に打ち込み放置したいわゆるロストボールであり、これらは無主物であるので、ゴルフ場側が早晩その回収、再利用を予定しているとしても、ゴルフ場側の所有に帰すとは言えないとした。
  2. 公有水面を埋め立てるため投入された土砂は、埋立工事のしゅん工認可の時に埋立権者の取得する埋立地に付合するのではなく、公有水面への投入によって直ちに公有水面の地盤に付合して国の所有となるので、独立した動産としての存在を有していたとしても、埋立権とは別個に当該土砂を譲渡することはできないとした。
  3. 二階建アパートの階下の一画の区分所有権者が、これを賃貸の目的で改造するために取りこわし、柱および基礎工事等を残すだけの工作物とした上で、当該工作物を、賃借人の負担で改造する約束で賃貸し、賃借人において約旨に従い建物として完成させた場合には、賃借人の工事により付加された物の付合により、当該建物は工作物所有者の所有に帰したものと解すべきであるとした。
  4. 甲建物の賃借人が甲建物に増築し、当該増築部分が甲建物と別個独立の存在を有せず一体となっている場合であっても、その構成部分は甲建物に付合しているとはいえないので、当該増築部分の所有権は、増築者である賃借人に帰属し、甲建物の所有者は、当該増築部分の所有権を保有しないとした。
  5. 建築途中において未だ独立の不動産に至らない建前に、第三者が材料を供して工事を施し、独立の不動産である建物に仕上げた場合における建物所有権の帰属は、民法における加工の規定ではなく、付合の規定に基づいて決定すべきであるとした。


No.15

民法に規定する留置権に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 留置権は債権がなければ存在せず、債権が消滅すれば留置権も消滅するので、留置権者が留置権を行使して留置物の引渡しを拒絶している間は、その留置権が担保している債権の消滅時効は進行しない。
  2. 留置権者は、債務者の承諾を得ないで留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供したときは、債務者からの留置権消滅請求の有無にかかわらず、留置権は直ちに消滅する。
  3. 留置権には他の債権者に優先して弁済を受ける権利はないので、留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することはできない。
  4. 最高裁判所の判例では、旧自作農創設特別措置法により農地の売渡処分を受けた者からその農地を譲り受けた者が、当該農地買収・売渡処分の無効を争う訴訟を提起された後に農地に有益費を支出し、その当時、当該処分が無効に帰すことを疑わなかったことにつき過失があっても、留置権を主張できるとした。
  5. 最高裁判所の判例では、建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除されたのち、当該建物を占有すべき権原のないことを知りながら当該建物を不法に占有する間に有益費を支出しても、賃借人は、その費用の償還請求権に基づいて当該建物に留置権を行使することはできないとした。


No.16

民法に規定する弁済に関するA~Dの記述のうち、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

 A 利害関係を有しない第三者は、当事者が反対の意思を表示した場合は、債務の弁済をすることができないが、利害関係を有する第三者は、当事者が反対の意思を表示した場合であっても、債務の弁済をすることができる。
 B 弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担となるが、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担となる。
 C 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければならない。
 D 債権に関する証書がある場合において、弁済をした者が全部の弁済をしたときは、弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求できるので、債権に関する証書の返還を請求することはできない。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.17

民法に規定する保証債務に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 保証契約は、債務者と保証人との間の契約であるが、保証契約の締結に際しては、債権者の同意が必要である。
  2. 保証債務は、主たる債務の内容の変更に応じて保証債務もその内容を変ずるので、主たる債務の目的又は態様が重くなった場合には、それに応じて保証債務も重くなる。
  3. 保証債務は主たる債務とは別個の債務であるから、主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しては、その効力を生じない。
  4. 債権者が指名した保証人が弁済をする資力を有することの要件を欠くに至ったときは、当該債権者は、弁済をする資力を有することの要件を具備する者をもってこれに代えることを常に債務者に請求することができる。
  5. 連帯債務者又は不可分債務者の一人のために保証をした者は、他の債務者に対し、その負担部分のみについて求償権を有する。


No.18

民法に規定する不法行為に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
  2. 責任無能力者が第三者に損害を加えたときは、責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、監督義務を怠らなくても損害が生ずべきであった場合であっても、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
  3. 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負うが、行為者を教唆した者及びほう助した者は、損害を賠償する責任を負わない。
  4. 他人の不法行為に対し、第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者であっても、損害賠償の責任を負うので、被害者から不法行為をした者に対して、損害賠償を請求することはできない。
  5. 裁判所は、被害者の請求により、被害者の名誉を毀損した者に対して、名誉を回復するのに適当な処分を命ずるときは、被害者の請求があっても、その処分とともに損害賠償を命ずることはできない。


No.19

民法に規定する事務管理に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 管理者は、本人又はその相続人若しくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、いかなる場合であっても、事務管理を継続しなければならない。
  2. 事務管理が成立するためには、他人の利益のみを図る意思をもって他人の事務を管理することが必要であるので、他人の利益を図る意思と自分の利益を図る意思が併存している場合には、事務管理は成立しない。
  3. 事務管理とは、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理をすることをいい、保存行為、利用行為及び改良行為は事務管理に含まれるが、処分行為は含まれない。
  4. 管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。
  5. 管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、報酬を請求することができるが、その費用の償還を請求することはできない。



No.20

民法に規定する遺言に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 公正証書遺言の方式に従って作成された遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。
  2. 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定することができるが、未成年者及び破産者は、遺言執行者となることはできない。
  3. 遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するので、いかなる場合であっても、第三者にその任務を行わせることができる。
  4. 利害関係人は、遺言執行者を解任しようとするときは、家庭裁判所にその解任を請求することができ、また、遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得ることなく、その任務を辞することができる。
  5. 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができ、また、その遺言を撤回する権利を放棄することができる。


No.21

次の図は、X財とY財との無差別曲線をU0及びU1、予算線PTの消費者均衡点をE0、予算線RSの消費者均衡点をE1、予算線RSと平行に描かれている予算線PQの消費者均衡点をE2で示したものである。今、X財の価格の下落により、予算線PTが予算線PQに変化し、消費者均衡点がE0からE2へと移動した場合の需要変化に関する記述として、妥当なのはどれか。


  1. X財は、上級財であり、X財の価格下落による正の所得効果及び正の代替効果により、全体としての効果はプラスとなる。
  2. X財は、上級財であり、X財の価格下落による正の代替効果が負の所得効果を下回るため、全体としての効果はマイナスとなる。
  3. X財は、下級財であり、X財の価格下落による正の代替効果が負の所得効果を上回るため、全体としての効果はプラスとなる。
  4. X財は、ギッフェン財であり、X財の価格下落による負の所得効果が正の代替効果を上回るため、全体としての効果はマイナスとなる。
  5. X財は、ギッフェン財であり、X財の価格下落による負の所得効果が正の代替効果を下回るため、全体としての効果はプラスとなる。


No.22

縦軸に費用、横軸に生産量をとったグラフ上に描かれた短期費用曲線に関するA~Dの記述のうち、妥当なものを選んだ組合せはどれか。ただし、限界費用曲線はU字型とする。

 A 限界費用曲線は、平均費用曲線の最低点及び平均可変費用曲線の最低点を通過する。
 B 限界費用曲線の最低点は、平均費用曲線の最低点及び平均可変費用曲線の最低点より上方にある。
 C 限界費用曲線の最低点における生産量は、平均可変費用曲線の最低点における生産量よりも小さい。
 D 平均費用曲線の最低点における生産量は、平均可変費用曲線の最低点における生産量よりも小さい。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.23

次の図は、2人の消費者A、BとX財、Y財の2つの財からなる交換経済のエッジワースのボックス・ダイアグラムである。図において、横軸と縦軸の長さは、それぞれX財とY財の全体量を表す。図中のU11、U2、U3、U4は消費者Aの無差別曲線を表し、V1、V2、V3、V4は消費者Bの無差別曲線を表し、曲線WW′ は契約曲線を表している。この図の説明として妥当なのはどれか。


  1. 曲線WW′ 上では、A、Bのそれぞれの資源配分が効率的であるとともに、常に公平な配分が実現される。
  2. a点からe点への移行は、パレート改善である。
  3. f点では、Bの限界代替率は、Aの限界代替率より小さく、X財、Y財をより多くBに配分すれば、社会厚生は増加する。
  4. b点からd点への移行は、パレート改善である。
  5. a点、c点、f点は、いずれもパレート最適な状態であるが、これらの点のうち、A、Bともに効用が最も高いのは、c点である。


No.24

次の図は、縦軸にある財の価格を、横軸にその生産量をとり、需要曲線をD、限界費用曲線をMC、その交点をIで表したものである。今、この財の市場が、完全競争市場から、財が独占企業によって供給される独占市場となり、限界収入曲線がMRで表される場合のこの図の説明として、妥当なのはどれか。


  1. 独占市場になると、生産量はXFからXI へと拡大し、価格はPFからPIへ下落する。
  2. 独占市場になると、厚生損失を表す面積は、三角形FHIから三角形FGIとなる。
  3. 独占市場になると、消費者余剰を表す面積は、三角形ABFから三角形ACIとなる。
  4. 独占市場になると、生産者余剰を表す面積は、三角形CEIから四角形BEHFとなる。
  5. 独占市場になると、社会的余剰を表す面積は、三角形AEIから四角形BEHFとなる。


No.25

A国とB国の2国、x財とy財の2財からなるリカードの貿易モデルにおいて、次の図のaa′ 線、bb′ 線は、それぞれA国、B国の2財の生産可能性フロンティアを表している。x財とy財の価格をそれぞれpx、pyとすると、2国間で貿易が行われるための2財の価格比px/pyの範囲として、妥当なのはどれか。



1. 1/3 < px/py < 1/2
2. 1/3 < px/py < 1
3. 1/2 < px/py < 1
4. 1/2 < px/py < 3/2
5. 2/3 < px/py < 4/3


No.26

次の図は、縦軸に消費C及び投資Iを、横軸に国民所得Yをとり、完全雇用国民所得水準をY0、総需要DがD=C+I、総供給がYsのときの均衡国民所得をY1で表したものである。今、Y0=250、C=30+0.4Y、I=90であるとき、Y0に関する記述として、妥当なのはどれか。


  1. 0において、30のインフレ・ギャップが生じている。
  2. 0において、50のインフレ・ギャップが生じている。
  3. 0において、30のデフレ・ギャップが生じている。
  4. 0において、50のデフレ・ギャップが生じている。
  5. 0において、80のデフレ・ギャップが生じている。


No.27

第1期の国民所得を400、第2期の国民所得を410、第3期の国民所得及び資本ストックをそれぞれ430、645とするとき、加速度原理により求められる第2期の投資の値はどれか。ただし、資本係数は一定とする。

  1. 10
  2. 15
  3. 20
  4. 25
  5. 30


No.28

国民所得をY、消費をC、投資をI、政府支出をG、輸出をE、輸入をMとし、
 Y=C+I+G+E-M
 C=0.9Y+C0 〔C0は定数〕
 M=0.1Y+M0 〔M0は定数〕
が成立するものとする。
今、純輸出(E-M)がゼロであるとしたとき、政府支出Gが200増加された場合、純輸出(E-M)の変化に関する記述として妥当なのはどれか。ただし、投資I及び輸出Eは変化せず、その他の条件は考えないものとする。

  1. 純輸出は40のプラスとなる。
  2. 純輸出は80のプラスとなる。
  3. 純輸出は100のマイナスとなる。
  4. 純輸出は160のマイナスとなる。
  5. 純輸出は変化しない。


No.29

ある国の経済が、

 Y=C+I+G
 C=30+0.8Y
 I=45-10r
 G=25
 M/P=L
 L=2Y-25r
 M=1000
Y:国民所得、C:消費、I:投資
G:政府支出、r:利子率
M:名目貨幣供給、P:物価水準
L:実質貨幣需要

で示されるとき、この経済の総需要関数はどれか。

  1. P= 400/Y-100
  2. P= 400/Y+100
  3. P= 400/3Y-500
  4. P= 2000/3Y+500
  5. P= 2000/3Y-500


No.30

次の表は、ある国の経済活動の規模を表したものであるが、この場合における国民総生産、国民純生産及び国民所得を示す値の組合せとして、妥当なのはどれか。


国民総生産 国民純生産 国民所得
1. 475 375 330
2. 475 385 350
3. 485 375 340
4. 485 385 330
5. 485 385 350



No.31

古典的予算原則に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 完全性の原則とは、すべての収入と支出は、漏れなく予算に計上されなければならないという予算原則をいい、我が国では財政法に、歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならないと規定されている。
  2. 統一性の原則とは、予算を編成するに当たって、歳入と歳出を可能な限り正確に見積もらなければならないという予算原則をいい、予算と決算との乖離かいりを可能な限り小さくすることを求める原則である。
  3. 明瞭性の原則とは、予算の内容が議会審議のためだけでなく、国民全体にも広く公開されなければならないという予算原則をいい、財政民主主義の基本となる原則である。
  4. 限定性の原則とは、歳入と歳出が計上される予算は、1つでなければならないという予算原則をいい、この原則から、ノン・アフェクタシオンの原則が導き出される。
  5. 会計年度独立の原則とは、予算は会計年度が始まるまでに編成を終え、議会によって議決されなければならないという予算原則をいい、我が国では財政法に、予算を前年度の1月中に国会に提出するのを常例とすると規定されている。


No.32

地方公共団体の財政の健全化に関する法律(財政健全化法)に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 財政健全化法では、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率の4つの比率を健全化判断比率という。
  2. 実質赤字比率とは、一般会計等の実質赤字額を基準財政需要額で除して得た数値をいう。
  3. 財政健全化法による財政の早期健全化とは、地方公共団体が、財政収支の著しい不均衡その他の財政状況の著しい悪化により自主的な財政の健全化を図ることが困難な状況において、国等の関与により財政の健全化を図ることをいう。
  4. 財政健全化計画を定めている地方公共団体は、地方債の起債が制限され、地方債をもってその歳出の財源とすることが一切できない。
  5. 地方公共団体の長は、健全化判断比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類を監査委員の審査に付し、その意見を付けて当該健全化判断比率を議会に報告しなければならないが、当該健全化判断比率を公表する必要はない。


No.33

最適課税論におけるラムゼイのルールに関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. ラムゼイのルールにおける逆弾力性の命題によると、生活必需品は、需要が価格に対して弾力的であるから、課税すると超過負担が大きいため、相対的に低い税率で課税されることになる。
  2. ラムゼイのルールにおける逆弾力性の命題によると、生活必需品は、需要が価格に対して非弾力的であるから、課税しても超過負担が小さいため、相対的に高い税率で課税されることになる。
  3. ラムゼイのルールにおける逆弾力性の命題によると、ぜいたく品は、需要が価格に対して弾力的であるから、課税すると超過負担が大きいため、相対的に高い税率で課税されることになる。
  4. ラムゼイのルールにおける逆弾力性の命題によると、ぜいたく品は、需要が価格に対して非弾力的であるから、課税すると超過負担が大きいため、相対的に低い税率で課税されることになる。
  5. ラムゼイのルールにおける逆弾力性の命題によると、ぜいたく品は、需要が価格に対して弾力的であるから、課税しても超過負担が小さいため、相対的に高い税率で課税されることになる。


No.34

財政理論に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. マネタリストの理論では、不完全雇用経済を常態と考え、完全雇用所得水準での国民経済の均衡を達成するためには、長期的に積極的な財政政策を採るべきであるとした。
  2. ブキャナンとワグナーは、議会制民主主義の下では財政政策の対称性が失われ、拡張政策ばかりが実施されるので財政赤字が体質化し、インフレーション圧力が生じるが、政府の肥大化によって民間経済が活性化するとした。
  3. ケインズは、財政政策は短期的には生産を増大させ、失業率を低下させる効果を持つが、長期的には有効でなく、むしろインフレ率の上昇という弊害をもたらすだけであるとした。
  4. サプライサイド経済学では、供給面から財政構造が経済に与える影響を重視し、経済を活性化するためには、減税等により人々の労働意欲や企業の投資意欲を刺激するなど供給面の政策が必要であるとした。
  5. 合理的期待形成仮説では、民間経済主体は経済に関するあらゆる情報を利用して予想を立て、それに基づいて行動するので、裁量的な財政政策は人々が予見しうる限り、短期的には無効であるが長期的には有効であるとした。


No.35

国民所得をY、消費をC、投資をI、政府支出をG、租税をTとし、
 Y=C+I+G
 C=20+0.8(Y-T)
が成り立つものとする。
ここで、所得に応じて税額が変動する比例所得税をT=30+0.2Yとする。
このときの政府支出の増加による国民所得の変動を、所得とは無関係に一定の税額が課せられる定額税の場合と比較したとき、ビルト・イン・スタビライザーの働きにより、乗数効果が緩和される割合はいくらか。ただし、政府支出の増加分は同じものとする。

  1. 1/9
  2. 2/9
  3. 1/3
  4. 4/9
  5. 2/3


No.36

モチベーション論に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. マグレガーは、伝統的管理論のもつ人間観をX理論、高次の欲求をもつ人間とみる人間観をY理論と類型し、個人目標と組織目標とを統合できるような管理原則の存在を説き、Y理論に基づく管理方法が必要であるとした。
  2. ハーズバーグは、職務満足につながる要因のことを衛生要因、職務不満につながる要因のことを動機づけ要因とし、この動機づけ要因こそが高い動機づけには必要であるとした。
  3. マズローは、人間の欲求を生理的欲求から自己実現欲求までの5段階の階層で理論化し、ある階層の欲求が満たされなくても、より高次の欲求が出現するとした。
  4. ブルームは、人間の欲求を、生存、関係、成長の3つの次元に分類し、これらの3つの頭文字をとってERG理論と名づけ、人間を動機づける力は生存、関係、成長の3つの積によって示されるとした。
  5. アルダーファーは、個人のパーソナリティは子どもが成長していくように成熟の段階から成熟の段階へ移行するという期待理論を主張し、職務拡大や参加的リーダーシップの必要性を説いた。


No.37

アンゾフの経営戦略論に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. アンゾフは、製品市場戦略のうち、企業が新規市場に新製品を投入することで成長を図ることをめざす戦略を市場開拓戦略とした。
  2. アンゾフは、製品市場戦略のうち、企業が現有製品を新しい顧客層や海外市場などの新規市場に投入して、売上高を拡大していく戦略を多角化戦略とした。
  3. アンゾフは、製品市場戦略のうち、企業が既存市場に対して新製品を投入し、あるいは現有製品を改良して、売上高や市場占有率を拡大する戦略を製品開発
    戦略とした。
  4. アンゾフは、アメリカの大企業における多角化戦略と事業部制組織に関する歴史を分析し、経営戦略の違いによって組織構造は変わっていくという現象から「組織は戦略に従う」という命題を提唱した。
  5. アンゾフは、企業が新分野に進出したときに、新製品・市場が既存の製品・市場と結合することで、単純な加算以上にもたらされる相乗効果を「成長ベクトル」と呼んだ。


No.38

次の図は、損益分岐図表であるが、図中のA~Dに該当する語の組合せとして、妥当なのはどれか。


1. 売上高線 総費用線 固定費 利益
2. 売上高線 総費用線 変動費 固定費
3. 売上高線 総費用線 利益 変動費
4. 総費用線 売上高線 変動費 固定費
5. 総費用線 売上高線 利益 変動費


No.39

次の文は、マーケティングに関する記述であるが、文中の空所A~C該当する語の組合せとして、妥当なのはどれか。

とは、マーケティング諸活動を標的市場の特性に合わせて効果的に組み合わせることをいう。マッカーシーは、を構成する活動の内容を、Product、Price、の4つの要素に集約した。これらの要素は、英単語の頭文字がいずれもPであることからマーケティングの4Pと呼ばれている。


1. マーケティング・コンセプト Place Period
2. マーケティング・コンセプト Preference Promotion
3. マーケティング・ミックス Place Promotion
4. マーケティング・ミックス Preference Period
5. マーケティング・ミックス Preference Promotion


No.40

バーノンの経営の国際化理論に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. バーノンは、資源を天然資源、資本、労働、技術スキル、経営スキル、起業家スキルの6つに分類し、国際経営という側面は、国内だけで事業活動を行っている企業の伝統的な職能分野の二次元的な広がりを超えた、もうひとつの次元に位置するものであるという国際資源移転論を説いた。
  2. バーノンは、アメリカ企業の行動分析から、製品ライフ・サイクルの変化に伴って技術と生産、消費のパターンが、先進国から他の国へ移転していく経営の国際化のプロセスをプロダクト・ライフ・サイクル・モデルで説明した。
  3. バーノンは、意思決定を現実に導く権限と統制機能の所在地に関連する組織構造を重視し、国内企業、輸出志向企業、国際企業、多国籍企業、超多国籍企業、超国家企業の6段階の発展プロセスを通して、企業が国際化していくとした。
  4. バーノンは、経営者の志向する経営視野を重視し、国内志向型企業、現地志向型企業、地域志向型企業、世界志向型企業の4つのパターンに類型化したEPRGプロファイルを示し、国際化の発展プロセスを展開した。
  5. バーノンは、グローバル戦略を活動の調整の高低と活動の配置の集中と分散の2軸を使って国際戦略の類型化を試み、企業の国際化が進展するにつれて、マルチ・ドメスティック戦略の方向にシフトしていくとした。


No.41

権力論に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. ラスウェルは、政治権力の正当性がどのように獲得されるかについて、信念に訴えて権力の合理化を図る「クレデンダ」と、象徴を巧みに使って情緒に働きかける「ミランダ」があるとした。
  2. メリアムには、「権力と人間」の著作があり、人間は社会における種々の価値を所有若しくは追求しているが、ある人間が他の人間の持つ価値に対して、これを剥奪する能力を有するとき、そこに権力関係が成立するとした。
  3. ルークスは、アメリカの権力的地位にある人々の構成とその変化を分析し、第二次世界大戦後、軍幹部、大企業経営者、政治幹部の三者に権力が集中する傾向が進み、「パワー・エリート」を形成しているとした。
  4. フーコーには、「監獄の誕生」の著作があり、近代の権力は、実力や暴力のように目に見える形で行使されるよりは、権力作用を受ける者が自分で自分を規律するように仕向けるという形で、自動的に行使されるとした。
  5. バクラックは、本来であれば争点化するであろう問題が制度的に隠蔽いんぺい、決定から排除された者の真の利害が表出されないどころか、当人に意識されることすらない形で行使される権力に注目し、「三次元的権力観」を提示した。


No.42

アメリカの大統領制に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 大統領は、議会の解散権を有するが、議会も大統領に対する不信任決議権を有しており、大統領と議会の均衡が維持されている。
  2. 大統領は、議会が可決した法案に対して拒否権を行使することができ、拒否権を行使した場合、その法案が法律として成立することは一切ない。
  3. 大統領は、議会に法案を提出することはできないが、議会に教書を送り、必要な立法措置を勧告することができる。
  4. 大統領は、国家元首の地位と行政部の首長の役割を兼ね、議会の議員から選出されるため、議会に対して責任を負う。
  5. 大統領は、任期が4年であり、伝統に基づく慣行によって3選が禁止されているが、憲法上の禁止事項ではない。


No.43

サルトーリの分類による政党制の類型に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 分極的多党制は、極度の混乱期を除いて存在せず、他に抜きんでて支配的な政党がないまま無数の政党が乱立している政党制である。
  2. 穏健な多党制は、政党数が3~5で、政党間のイデオロギーの相違が比較的小さく、連合政権軸は二極で、政党間の競合が求心的な政党制である。
  3. 一党優位政党制は、形式的には複数の政党が存在しているものの、実際には一党が支配しており、その他の政党は第二次的政党、衛星政党としてのみ許さ
    れ、制度的に政党間の競合が存在しえない政党制である。
  4. ヘゲモニー政党制は、唯一の政党しか法律上も事実上も認められない、非競合的政党制である。
  5. 原子化政党制は、政党数が6~8で、政党間のイデオロギーの相違が大きく反体制政党や過剰公約の無責任政党が存在し、政党間の競合が遠心的な政党制
    である。


No.44

社会契約論に関する記述として、妥当なのはどれか。

1 ホッブズは、社会は政府に一定の限度内で統治を信託したにすぎず、権力が専制化し、自然権を阻害する場合は、新しい政府をつくる権利である抵抗権が存在するとした。
2 ホッブズは、自然状態では人間は自由で平等であったが、文明の発展によりそれらが損なわれたとき、人々は全員一致で社会契約を結び、一切の権利を共同体に委譲することでのみ自由や平等は回復できるとした。
3 ロックは、人間は自己の生命を保存する権利を持ち、また、そのために必要な手段を獲得する権利を持つとし、人間は互いに平等であるが故に自然権を行使し、他人と対抗し、戦いを通じてでも生活を維持するとした。
4 ロックは、自然状態では皆が平等であり、互いの自然権を侵害することはないが、自然権の保障を確実にするために、人々は相互契約を結んで政治社会を形成し、政府に自然法の解釈権と執行権のみを委譲するとした。
5 ルソーは、人間は自然権を放棄し、契約を結んで第三者に権限を譲り渡すが、この第三者は全員の代理人であり主権者であるので、人々は主権者に対して絶対の服従を求められるとした。



No.45

ダールのポリアーキー論に関するA~Dの記述のうち、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

 A ダールは、デモクラシーという言葉を理念型としての民主主義のために留保しておき、民主主義の現実形態にはポリアーキーという名前を与えて理念型と区別した。
 B ダールは、ポリアーキーを成立させる条件を不完全だが近似的に満たした体制を準ポリアーキーとし、競争的寡頭体制と包括的抑圧体制を準ポリアーキーに分類した。
 C ダールは、近代社会における政治体制を閉鎖的抑圧体制と呼び、閉鎖的抑圧体制から、選挙に参加し公職に就く権利のみが拡大すれば、競争的寡頭体制になるとした。
 D ダールは、民主化の条件として、公的異議申立てと包括性の2つの基準を設け、どちらも高い状態にあるのがポリアーキーであるとした。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.46

我が国の中央行政機構における行政委員会又は審議会に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 行政委員会は、第二次世界大戦後、アメリカの独立規制委員会を模範として導入されたものであり、省の内部部局として設置されている。
  2. 行政委員会は、行政的規制を行う権限をもち、一般行政機構から独立した独任制機関である。
  3. 行政委員会は、政治的中立性を必要とする場合と複雑な利害関係を調整する場合に限り設置することができる。
  4. 審議会の委員は、行政機関からの独立性を確保するため、全て国会の承認を得て内閣が任命しなければならない。
  5. 審議会は、行政機関に置くことができる合議制の機関であり、諮問機関であるものと参与機関であるものとに分けることができる。


No.47

公共サービス改革に関するA~Dの記述のうち、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

 A 公共施設の建設、維持管理、運営に、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用することにより、同一水準のサービスをより安く、又は、同一価格でより上質のサービスを提供する手法をPFIという。
 B イギリスのサッチャー政権下において、中央官庁の組織の中で、政策の企画立案に当たる部分と執行・実施に当たる部分とを切り離し、政策の企画立案に当たる部門を中央官庁から組織的に独立させ、効率的な運営を図ったものがエージェンシー制度であり、我が国の独立行政法人制度はこれに当たる。
 C 市場化テストとは、国の行政機関等又は地方公共団体が自ら実施する公共サービスの実施に際し、官民が参加する競争入札でサービスの実施者を決定する方法のみをいい、民間のみが参加する競争入札でサービスの実施者を決定する方法は含まない。
 D 指定管理者制度とは、地方公共団体が法人その他の団体であって当該地方公共団体が指定するものに、公の施設の管理を行わせることであり、地方公共団体が指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.48

次のA~Eの我が国の行政統制を、ギルバートの行政統制の類型に当てはめた場合、内在的・制度的統制に該当するものを選んだ組合せとして、妥当なのはどれか。

 A 上司による職務命令
 B 職員組合による要求
 C 議会による統制
 D 各省大臣による統制
 E 利益集団による圧力

  1. AC
  2. AD
  3. BD
  4. BE
  5. CE


No.49

シュタインの行政学に関するA~Dの記述のうち、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

 A シュタインは、行政に関する学を総論と各論の2部構成とし、総論は、外務、軍務、財務、法務、内務の5部門からなり、各論は、行政組織、行政命令、行政
法の3部門からなるとした。
 B シュタインは、国家とはそれ自身が自我、意思及び行為とをもって人格にまで高められた共同体であるとした。
 C シュタインは、行政とは国民の参加による国家の意思の形成であり、憲政とは国家の意思の反復的実施であるとした。
 D シュタインは、憲政と行政の双方が優位を占める二重の関係を設定し、行政なき憲政は無内容であり、憲政なき行政は無力であるとした。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.50

次のA~Eのうち、2001年に行われた我が国における中央省庁の再編時に、既存の省庁が統合されて新設された省とその外局を選んだ組合せとして、妥当なのはどれか。

 A 財務省 金融庁
 B 農林水産省 気象庁
 C 文部科学省 文化庁
 D 防衛省 防衛施設庁
 E 国土交通省 海上保安庁

  1. AC
  2. AD
  3. BD
  4. BE
  5. CE


No.51

社会集団の類型に関する記述として、妥当なのはどれか。

1 クーリーは、社会集団を第一次集団と第二次集団とに分類し、直接接触の親密な感情の強い小集団を第一次集団、間接接触の大規模な人為的集団を第二次集団とした。
2 テンニースは、社会集団をゲマインシャフトとゲゼルシャフトとに分類し、成員相互の結合の性質が利害的な利益社会をゲマインシャフト、成員相互の結合の性質が情緒的な共同社会をゲゼルシャフトとした。
3 メイヨーは、社会集団をコミュニティとアソシエーションとに分類し、人間の生活関心の全てを充たす自然発生的な地域社会をコミュニティ、特定の生活関心を充たすために人為的につくられた集団をアソシエーションとした。
4 マッキーバーは、社会集団をフォーマル組織とインフォーマル組織とに分類し、組織目的を達成するために人為的に編成された体系をフォーマル組織、個人が感情にもとづいて自然につくりあげた集団をインフォーマル組織とした。
5 ギディングスは、社会集団を生成社会と組成社会とに分類し、血縁と地縁にもとづく自生的に発生した社会を生成社会、類似の目的や活動のために人為的につくられる社会を組成社会とした。



No.52

階級又は階層に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 生産手段の所有、非所有によって区別される社会集団が「階層」であり、社会的地位を構成している職業威信、所得、学歴などの地位指標によって区別される集団が「階級」である。
  2. 資本主義の高度化につれて、所有と経営の分離や労働者層の技能別分化が起こったことにより、社会成層の中間部分に新たに出現した現業部門の生産労働者のことを「新中間層」という。
  3. マルクスは、生産関係において客観的に規定された階級に属する人々が、階級帰属意識を持ち、他の階級との階級闘争の必然性を意識することを階級意識と規定し、この階級意識を持たない状況にある階級を即自的階級とし、階級意
    識を持つに至った階級を対自的階級として区別した。
  4. ウェーバーは、階級は資産の有無によって成立するのではなく、生活様式や名誉や社会的評価の差異によって成立するので、階級と身分は同概念であるとした。
  5. デービスとムーアは、重要な課題に取り組む人は社会的な使命感や仕事の達成感を動機としているのであって、高い報酬だけが誘因になっているわけではないとし、階層や不平等の存在が機能的であるとする機能主義の理論を否定し
    た。


No.53

次の文は、社会運動論に関する記述であるが、文中の空所A~Dに該当する語又は人物名の組合せとして、妥当なのはどれか。

は、社会運動を非合理的なものと見る考え方を批判し、個人の行動の合理性や運動の組織性を重視した考え方であり、らにより提起された。アメリカで発達したが組織レベルに焦点を当てたのに対し、ヨーロッパで発達したは、脱工業化社会において、階級闘争型の労働運動にかわり台頭してきた環境運動、女性解放運動などをマクロ的な視点から説明しようとする考え方であり、らにより提起された。

1. 資源動員論 ゾールド 新しい社会運動論 トゥレーヌ
2. 資源動員論 トゥレーヌ 新しい社会運動論 ゾールド
3. 新しい社会運動論 スメルサー 集合行動論 ゾールド
4. 新しい社会運動論 ゾールド 資源動員論 トゥレーヌ
5. 集合行動論 トゥレーヌ 資源動員論 スメルサー


No.54

マス・コミュニケーションに関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 日常生活における人々のコミュニケーションのあり方は双方向であり、マス・コミュニケーションにおいても、必ずコミュニケーションの双方向性が存在する。
  2. マス・コミュニケーションにおいては、コミュニケーションの送り手と受け手の役割が流動的であるので、送り手と受け手の間の役割交換の可能性は高い。
  3. マス・コミュニケーションにおいては、単数又は少数の送り手が、特定の受け手に対してコミュニケーションを送るが、コミュニケーションの受け手は少数の場合と多数の場合がある。
  4. マス・コミュニケーションにおいては、コミュニケーションの送り手は個人ではなく、専門的な特定の組織である。
  5. マス・コミュニケーション過程では、受け手が多数の場合には、コミュニケーションの送り手の側に高度な機械技術装置が組み込まれているが、受け手が少数の場合には、高度な機械技術装置は必要ない。


No.55

パーソンズの社会体系の理論に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. パーソンズは、社会は、社会成員の没個性的な類似による結合である機械的連帯から、社会成員の個性的な差異を基礎とした分業の発達によって生ずる結合である有機的連帯へと進化するとした。
  2. パーソンズは、AGIL図式により、社会システムが維持・存続するためには、適応、目標達成、統合、潜在的パターンの維持及び緊張の処理という4つの機能要件が満たされなければならないとした。
  3. パーソンズは、サイバネティクスの原理を行為システムに適用し、最も情報量が多いパーソナリティ・システムが他のシステムを条件付け、最もエネルギーが高い文化システムが他のシステムを制御するとした。
  4. パーソンズは、経験的調査と一般的な理論との有効な結合として中範囲の理論を提唱し、全体社会システムの諸部分を構成する個々の社会現象を分析すべきであるとした。
  5. パーソンズは、社会体系の参与者によって意図され認知された結果である顕在的機能と、これに対して、意図されず認知されない結果である潜在的機能との区別を明らかにした。