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専門試験

No.1

日本国憲法に規定する生存権の法的性格に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 生存権には、社会権的側面があるが、国民が自らの手で健康で文化的な最低限度の生活を維持する自由を有し、国家はそれを阻害してはならないという自由権的側面が認められることはない。
  2. プログラム規定説は、憲法の生存権の規定は、国民の生存を確保すべき政治的・道義的義務を国に課したにとどまらず、個々の国民に対して法的権利を保障したものである。
  3. 抽象的権利説は、憲法の規定は、国家に対して立法その他の措置を通じて生存権を実現すべき法的義務を課しているので、直接憲法の規定を根拠に、裁判所に対し国家の立法の不作為の違憲性を争うことも、生存権を具体化する法律の存在を前提として憲法違反を主張することも許されないとしたものである。
  4. 最高裁判所の判例では、国は、特別の条約の存しない限り、政治的な判断により、限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことは許されるべきことと解され、在留外国人を障害福祉年金の支給対象者から除外することは、立法府の裁量の範囲に属するとした。
  5. 最高裁判所の判例では、健康で文化的な最低限度の生活の内容について、その具体的な立法措置の選択決定は立法府の広い裁量にゆだねられているため、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱及び濫用であるといえる場合であっても、司法審査の対象とならないとした。


No.2

日本国憲法に規定する人身の自由に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 人を抑留又は拘禁する場合には、その理由を告げ、弁護人に依頼する権利を与えなければならず、また、正当な理由がなければ、抑留又は拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
  2. 憲法は、住居、書類及び所持品について侵入、捜索及び押収を受けることのない権利を保障しており、住居の捜索や所持品の押収については裁判官が発した令状によりこれを行う必要があるが、令状がなくても住居の捜索や所持品の押収が許されるのは、現行犯逮捕の場合に限られる。
  3. 憲法は、強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができないと定め、任意性のない自白の証拠能力を否定しているが、任意性のある自白であれば、これを補強する証拠が別になくても、有罪とすることができる。
  4. 憲法で定める刑罰法規の不遡及は、犯罪実行時に適法であった行為のみならず、実行時に刑罰が法定されていなかった違法行為についても、事後法によって刑罰を科すことを禁止しているが、実行時に刑罰が法定化されている場合であれば、事後法によって実行時の法定刑より重い刑罰を適用することができる。
  5. 憲法の定める法定手続の保障は、手続が法定されることのみならず、その法定手続が適正でなければならないこと、実体もまた法律で定められなければならないこと、及び法律で定められた実体規定も適正でなければならないことが必要である。


No.3

日本国憲法に規定する地方自治に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 地方自治権の性質として、個人が国家に対して不可侵の権利をもつのと同様に地方自治体も基本権を有するという承認説と、国は地方自治の廃止を含めて地方自治保障の範囲を法律によって定めることができるという固有権説がある。
  2. 憲法では、地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置すると定めており、法律で、町村において議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる旨の規定を設けることはできない。
  3. 憲法では、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙すると定めており、法律の定めるその他の吏員を必ず設けなければならない。
  4. 憲法では、法律の範囲内で、条例を制定することができると定めており、この条例とは、地方公共団体の議会の議決によって制定される条例のみが当たり、長の制定する規則はこれに当たらない。
  5. 特定の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することはできない。


No.4

日本国憲法に規定する条約に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 条約の意味には、条約を執行するために必要な技術的及び細目的協定や、条約の具体的な委任に基づいて具体的個別的問題について細部の取極めを行うものも含まれるので、それらの協定や取極めについても国会の承認を必要とする。
  2. 条約の締結に必要な国会の承認についての議案は、予算の提出と同様に衆議院の先議権が認められるので、先に衆議院に提出し、その議決を経なければならない。
  3. 条約の締結に必要な国会の承認について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、両議院の協議会を開いても意見が一致しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
  4. 条約の効力について、条約の国会における事後承認の手続で承認を得られなかった場合は、国会の承認権の規定の具体的な意味が諸外国にも周知の要件と解されているような場合であっても、国際法的には必ず有効である。
  5. されているような場合であっても、国際法的には必ず有効である。5 憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しないとしており、条約が除外されていることから、条約は憲法に優位する。


No.5

日本国憲法に規定する財政に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 内閣は、予備費の支出について、事後に国会の承諾を得なければならないが、承諾が得られない場合においても、すでになされた予備費支出の法的効果には影響を及ぼさない。
  2. 内閣は、会計年度が開始する時までに当該年度の予算が成立しない場合、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成することができるが、暫定予算の成立に国会の議決は必要ない。
  3. 国会は、予算の議決に際し、予算原案にあるものを廃除削減する修正を行うことはできるが、予算原案に新たな款項を設けたり、その金額を増加する修正を行うことは許されない。
  4. 国が債務を負担するには、国会の議決に基づく必要があり、その場合の債務とは金銭債務を意味するが、それは直接に金銭を支払う義務に限られ、債務の支払の保証や損失補償の承認は債務の負担に含まれない。
  5. 憲法で定める租税法律主義とは、租税の新設及び税制の変更が法律の形式によって国会の議決を必要とする原則をいい、実質的に租税と同様に強制的に徴収される負担金や手数料はその適用を受けない。


No.6

行政法学上の法規命令に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 法規命令は、国民の権利義務に関係する一般的な法規範であり、内閣の制定する政令や各省大臣の発する省令はこれに当たるが、各省の外局に置かれる各行政委員会の制定する規則は当たらない。
  2. 法規命令のうち委任命令の制定についての法律の委任は、法律の法規創造力を失わせるような白紙委任が禁じられるが、一般的で包括的な委任は認められる。
  3. 法規命令のうち委任命令は、法律の委任に基づいて法律事項を定めた命令であり、法律による個別的で具体的な委任がある場合には、委任命令に罰則を設けることができる。
  4. 法規命令のうち委任命令は、法律等の上位の法令の実施に必要な具体的で細目的な事項を定める命令であり、国民の権利や義務を創設する命令ではない。
  5. 法規命令のうち執行命令は、新たに国民の権利や義務を創設する命令であり、法律の個別的で具体的な事項ごとに授権がなければならない。


No.7

行政行為の効力に関するA~Dの記述のうち、最高裁判所の判例に照らして、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

 A 村農地委員会の裁定を不服として申立てた訴願につき、県農地委員会が訴願棄却の裁決をしながら、再議の結果、申立人の主張を認め、訴願棄却の裁決を取り消した上改めて訴願の趣旨を容認するとの裁決をしたことは、違法であるが、行政処分は、たとえ違法であっても、その違法が重大かつ明白で当然無効と認める場合を除いて、適法に取り消されない限り完全にその効力を有するとした。
 B 全く不知の間に第三者がほしいままにした登記操作によって受けた、譲渡所得による課税処分が、たとえば、登記の過程について完全に無関係であり、事後においても明示または黙示的にこれを容認していなかったような特段の事情があったとしても、課税処分に対する通常の救済制度につき定められた不服申立期間の徒過による不可争的効果を理由とした当該課税処分は当然に有効であるとした。
 C 旧所得税法のもとにおいて、雑所得として課税の対象とされた金銭債権が、後日貸倒れによって回収不能となった場合に、その貸倒れの発生と貸倒額とが客観的に明白で、課税庁に格別の認定判断権を留保する合理的必要性がないと認められるときは、当該課税処分そのものが取消又は変更されなくても、国は、同処分に基づいて先に徴収した所得税のうち貸倒額に対応する税額を不当利得として納税者に返還する義務を負うとした。
 D 免許停止処分の理由となった軽傷交通事故につき、その後の刑事裁判で傷害の事実の証明がないとして無罪となった場合は、当該免許停止処分について、権限ある行政庁又は裁判所に取り消されるまでもなく無効となるので、過去一年以内の免許停止処分歴に基づき反則者に当たらないとしてなされた速度違反事件の公訴の提起は、違法であるとした。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.8

行政法学上の行政強制に関する記述として、判例、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 直接強制とは、目前急迫の必要があって義務を命じる暇がない場合、行政機関が相手方の義務の不履行を前提とすることなく、直接、国民の身体や財産に実力を加え、行政上必要な状態を作り出す作用をいう。
  2. 即時強制とは、義務者が義務を履行しない場合、義務者の身体や財産に実力を加え、義務の内容を実現する作用をいうが、苛酷な人権侵害を伴うおそれが強いため、例外的に最小限、個別法に特別の定めが置かれている。
  3. 行政代執行とは、義務者が代替的作為義務を履行しない場合、他の手段によってその履行を確保することが困難であるとき、行政庁自らが義務者の義務を履行できるとするものであるが、代執行に要した費用を義務者から徴収することはできない。
  4. 最高裁判所の判例では、漁港管理者である町が当該漁港の区域内の水域に不法に設置されたヨット係留杭を強制撤去したのは、行政代執行法上適法と認めることができないものであるので、この撤去に要した費用の支出は、緊急の事態に対処するためのやむを得ない措置であるとしても違法であるとした。
  5. 最高裁判所の判例では、農業共済組合が組合員に対して有する農作物共済掛金の債権について、行政上の強制徴収の手段を与えられながら、強制徴収の手段によることなく、一般私法上の債権と同様に訴えを提起し、民事訴訟法上の強制執行の手段によって実現を図ることは許されないとした。


No.9

行政法学上の仮の救済に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 執行停止が認められるには、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないとき、又は本案について理由がないとみえないときという積極的要件を満たす必要はあるが、取消訴訟や無効等確認訴訟が係属している必要はない。
  2. 裁判所は、処分の執行又は手続の続行の停止によって、仮の救済の目的を達することができる場合であっても、申立人の権利利益保護のために、処分の効力の停止をすることができる。
  3. 内閣総理大臣は、執行停止の申立てがあった場合だけでなく、執行停止の決定があった後においても、裁判所に対し、異議を述べることができるが、いずれにおいても、理由を付さなければならない。
  4. 裁判所は、義務付けの訴えの提起があった場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があれば、本案について理由があるとみえないときも、申立てにより、決定をもって、行政庁に仮の義務付けを命ずることができる。
  5. 裁判所は、差止めの訴えの提起があった場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要がない場合でも、本案について理由があるとみえるときは、申立てにより、決定をもって、行政庁に仮の差止めを命ずることができる。


No.10

行政法学上の損失補償に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 公共の利用に供するために財産権が制約され損失が生じれば、それが社会生活において一般に要求される受忍の限度をこえていなくても、無条件に損失補償が受けられる。
  2. 公用収用における損失補償は、所有権や地上権などの収用される権利について補償することはできるが、移転料、調査費及び営業上の損失など収用に伴い受けるであろう付随的損失について補償することはできない。
  3. 土地収用法における損失補償は、土地が収用される場合、その当時の経済状態において合理的に算出された相当な額で足り、収用の前後を通じて被収用者の財産を等しくするような完全な補償は不要である。
  4. 公共の用に供するために財産権を収用ないし制限された者には、法律に補償の規定がなくても、日本国憲法で定めている財産権の保障の規定に基づいて損失補償請求権が発生する。
  5. 土地収用における損失補償の方法は、現物補償として代替地の提供に限られ、土地所有者又は関係人の要求があった場合においても、金銭の支払による補償はすることはできない。





No.11

民法に規定する意思表示に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 表意者が真意でないことを知ってした意思表示は、表意者の内心を考慮して無効となるので、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときであっても、その意思表示は無効である。
  2. 詐欺による意思表示は、意思表示の相手方以外の第三者が詐欺を行った場合に、相手方が詐欺の事実を知っていたと否とにかかわりなく取り消すことができる。
  3. 強迫による意思表示は、意思表示の相手方以外の第三者が強迫した場合にも取り消すことができ、また、強迫を理由とする取消しの効果を善意の第三者に対して主張することもできる。
  4. 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、当然無効となり、虚偽表示が無効だという効果を、当該行為が虚偽表示であることを知らない善意の第三者に対しても主張することができる。
  5. 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日から2週間を経過した時に、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて、過失があったとしても、相手方に到達したものとみなされる。


No.12

民法に規定する制限行為能力者に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 未成年者が法律行為をするときは、法定代理人の同意を得なければならないが、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができ、目的を定めないで処分を許した財産を処分することはできない。
  2. 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
  3. 家庭裁判所は、被保佐人のために特定の法律行為について、保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができるが、保佐人の請求により代理権を付与する場合において、被保佐人の同意は必要としない。
  4. 被保佐人の相手方が、被保佐人が行為能力者とならない間に、保佐人に対し、相当の期間を定めて取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした場合、保佐人がその期間内に確答を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
  5. 成年被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、成年後見人の同意を得ないでした場合、これを取り消すことができるが、成年後見人の同意を得てなされたときは、これを取り消すことができない。


No.13

民法に規定する質権に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 質権は、譲り渡すことのできない物をその目的とすることができないが、登記した船舶、運行の用に供する自動車や航空機には譲渡性があり、質権を設定することができる。
  2. 不動産質権者は、質物の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができるので、その債権の利息を請求することができるとする別段の定めは許されない。
  3. 質権者は、その債権の担保として債務者から受け取った物を占有し、優先弁済権を有することができるが、質権は当事者間の契約によって設定されるため、現に占有している第三者の所有物に質権を設定することはできない。
  4. 質権者は、債権の目的物が金銭である場合に、質入債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。
  5. 動産質権設定契約は、目的物を引渡してはじめて効力が生じる要物契約であり、目的物の引渡しの方法は、現物の引渡しに限られず、占有改定により占有させる方法も許される。


No.14

民法に規定する占有権の取得に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得するので、代理人によって占有権を取得することはできない。
  2. 占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってするが、譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、当事者の意思表示のみによってすることができる。
  3. 代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じたときは、当該代理人の承諾があれば当該第三者の承諾がなくとも、当該第三者は占有権を取得することができる。
  4. 占有者は、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定するが、所有の意思は推定されないので、所有の意思を表示する必要がある。
  5. 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができ、前の占有者の占有を併せて主張する場合であっても、その瑕疵まで承継する義務はない。


No.15

譲渡担保に関するA~Dの記述のうち、最高裁判所の判例に照らして、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

 A 構成部分の変動する集合動産であっても、その種類所在場所及び量的範囲を指 定するなどの方法により目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物として譲渡担保の目的となりうるとし、継続的倉庫寄託契約に基づき寄託中の食用乾 燥ネギフレーク44トン余りのうち28トンを譲渡担保として提供することを約した事例において、預証は在庫証明の趣旨で作成されたものであり、倉庫へ赴いたの も単に在庫の確認のためであって、目的物の特定のためではなかったので、譲渡担保に供したとは認められないとした。
 B 譲渡担保権者は、特段の事情がない限り、第三者異議の訴えによって目的物件に対し譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行の排除を求めることができるが、目的物件につき自己の債権者のために更に譲渡担保権を設定したのちにおいては、第三者異議の訴えによって目的物件に対し原譲渡担保権設定者の一般債権者がした強制執行の排除を求めることができなくなるとした。
 C 債務者が弁済期に債務の弁済をしないときは弁済に代えて確定的に目的不動産の所有権を債権者に帰せしめる旨の譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債 務の弁済をしないとき、債権者が、担保目的実現の手段として、債務者に対し不動産の引渡ないし明渡を請求する訴を提起した場合、債務者が清算金の支払と引換えにその履行をなすべき旨を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、債権者の請求は、債務者への清算金の支払と引換えにのみ認容されるべきとした。
 D 譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合に、譲渡担保を設定した債務者は、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができないが、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときは、その清算が行われるまでは債務を弁済又は供託して目的不動産を受け戻すことができるとした。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.16

民法に規定する債務不履行に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負うが、債務の履行について期限を定めなかったときは、履行の請求を受けたとしても、遅滞の責任を負うことはない。
  2. 債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求できるので、この場合、債権者は、損害賠償を請求することはできない。
  3. 債権者が、損害賠償として、その債権の目的である物又は権利の価額の全部の支払を受けたときは、債務者は、その物又は権利について当然に債権者に代位する。
  4. 最高裁判所の判例では、硫黄鉱区の採掘権を有する者が、鉱石を採掘してこれを売り渡す売買契約において、契約の存続期間を通じて採掘する鉱石の全量を買主に売り渡す約定があったとしても、鉱石市況の悪化を理由として、買主が契約期間内に採掘した鉱石を引き取らないことは、信義則に反しないとした。
  5. 最高裁判所の判例では、売買契約の目的物である不動産の価格が、売主の所有権移転義務の履行不能後も騰貴を続けているという特別の事情があり、かつ、履行不能の際に売主がそのような特別の事情の存在を知っていたとしても、買主は履行不能時の価格を基準として算定した損害額の賠償を請求すべきとした。


No.17

民法に規定する相殺に関する記述として、通説に照らして、妥当なのはどれか。

  1. 時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺適状にあった場合には、その債権者は、これを自働債権として相殺することができるが、消滅時効完成後の債権の譲受人が、これを自働債権として相殺することは許されない。
  2. 不法行為による損害賠償債権を受働債権として、不法行為によるものではない債権と相殺することができるが、損害賠償請求権を自働債権として、不法行為によるものではない債権と相殺することはできない。
  3. 相殺は、2人が相互に同種の内容の債務をもつ場合に、双方の債務を対当額において消滅させることができるので、双方の債務の履行地が同一でなく異なるときは相殺の要件をなさない。
  4. 相殺が有効になされるためには、相対立する債権の弁済期において、受働債権は常に弁済期に達していなければならないが、自働債権については必ずしも弁済期にあることを必要としない。
  5. 意思表示による相殺の効力発生時期は、当事者の一方から相手方に対して、実際に相殺の意思表示をした時期であり、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼって相殺の効力を生じることはない。


No.18

民法に規定する請負、委任又は組合に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 建物その他の土地の工作物に関する請負契約について、仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないとき、注文者は契約の解除をすることができる。
  2. 委任においては、受任者が委任事務の履行後でなければ報酬を請求することができないため、受任者の責めに帰することができない事由により履行の中途で終了したとき、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができない。
  3. 委任は、特約の有無にかかわらず、委任者が後見開始の審判を受けたことによって終了するが、受任者が破産手続開始の決定を受けたこと及び後見開始の審判を受けたことによっては終了しない。
  4. 組合の業務の執行は、当事者の定めがなければ、組合員の過半数で決するのではなく、各組合員の出資の価額の割合に応じて定める。
  5. 組合への出資は、金銭でなく物品や労務で提供することができ、脱退した組合員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができる。


No.19

民法に規定する売買の効力に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 売買の目的である権利の全部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができ、この場合において、買主が契約時にその権利が売主に属しないことを知っていたときも損害賠償の請求をすることができる。
  2. 売買の目的物が地上権、永小作権又は地役権の目的である場合において、買主がこれを知らなかったため、契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができ、この場合において、契約の解除をすることができないときは、代金減額の請求をすることができる。
  3. 売買の目的である権利は、契約の成立したときに買主に移転するが、権利の移転と目的物の引渡しとの間には、時間的な差が生じうるものであるため、権利移転後もまだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、当然買主に帰属する。
  4. 売買の目的について権利を主張する者があるために買主がその買い受けた権利の全部又は一部を失うおそれがあるときは、売主が買主との合意に基づいて担保物権を設定した場合においても、買主は、その危険の限度に応じて、代金の支払を拒むことができる。
  5. 買い受けた不動産について抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続が終わるまで、その代金の支払を拒むことができるが、この場合において、売主は、買主に対し、遅滞なく抵当権消滅請求をすべき旨を請求し、また、その代金の供託を請求することができる。


No.20

民法に規定する特別養子縁組に関するA~Dの記述のうち、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

 A 特別養子縁組は、原則として家庭裁判所の審判により成立するが、実父母が相当の監護をすることができない場合は、養親となる者と養子となる者の法定代理人との協議によりすることができる。
 B 特別養子縁組の養親となる者は、配偶者のある者で、年齢は25歳に達していなければならないが、養親となる夫婦の一方が25歳に達していない場合も、その者が20歳に達しているときは養親になることができる。
 C 特別養子縁組は、養子、実父母又は検察官の請求による家庭裁判所の審判によってのみ当事者を離縁させることができ、当事者の協議による離縁はすることができない。
 D 特別養子縁組は、養子と実父母及びその血族との親族関係を終了させ、当該縁組が離縁となった場合でも、特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係は生じない。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD





No.21

所得のすべてを支出してX財とY財を購入する消費者の効用関数が、

 U=XY
U:効用水準
X:X財の消費量
Y:Y財の消費量

で示されている。当初、X財の価格は8、Y財の価格は2で、この消費者は所得144のもと効用最大化的な消費を行っているものとする。

X財の価格が8から18に上昇した場合、当初の効用水準を実現するために必要な最小の所得(補償所得)はどれか。

  1. 180
  2. 216
  3. 252
  4. 288
  5. 324


No.22

生産物の産出量をY、資本量をK、労働量をLとし、ある企業の生産関数がY=10K0.60.4で表されるものとする。
今、実質賃金率が48であるとしたとき、労働の平均生産性Y/Lの値はどれか。
ただし、市場は完全競争市場で、資本量Kは固定されたものとする。

  1. 40
  2. 60
  3. 80
  4. 120
  5. 160


No.23

同じ財を生産する企業1、企業2からなる複占市場において、需要量をD、価格をP、総費用をC、生産量をXとし、この財の市場の需要曲線が、
 D=160-P
で表され、また、総費用曲線は企業1、企業2ともに
 C=2X
で表されるものとする。
もし2つの企業が協調して、企業1、企業2の利潤の合計が最大となるように行動するとした場合、財の価格はどれか。

  1. 40
  2. 60
  3. 80
  4. 100
  5. 120


No.24

次の図ア~オは、縦軸に価格を、横軸に需要量・供給量をとり、市場におけるある商品の需要曲線をDD、供給曲線をSSで表したものであるが、このうちマーシャル的調整過程において、均衡が安定であるものを選んだ組合せとして、妥当なのはどれか。

  1. アイエ
  2. アウエ
  3. アウオ
  4. イウオ
  5. イエオ


No.25

市場の失敗に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. ある個人の消費活動やある企業の生産活動が、市場での取引を経ないで他の人々の効用や他の企業の生産に直接的な影響を与えることを外部性といい、特に好ましくない影響を与えることを外部不経済という。
  2. 国防、灯台などが生み出すサービスは、対価を支払わないからといってその人の利用を妨げることは難しく、このように対価を支払うことなくそのサービスを利用できるような財の性質を非競合性という。
  3. コースの定理では、企業の生産活動によって環境汚染が発生する外部性が存在する場合において、環境を汚染する企業と被害を受ける地域住民との間で交渉することによってはパレート最適な資源配分が実現しえないとされている。
  4. 規模の経済が著しく大きい費用逓減産業では、自由な競争にまかせておくと、やがて独占が形成され、そこでは財の生産量は社会的にみて望ましい水準を上回る。
  5. 環境汚染企業に対しては、外部性の影響を補正するために外部費用分を課税することにより資源配分の効率性を実現させることができるが、補助金を出すことによって資源配分の効率性を実現させることはできない。


No.26

現在600万円の年収がある25歳の人がいる。この人が65歳まで働き、85歳まで寿命があり、今後40年間は現在と同額の所得があるが、その後は所得がないという予想の下で、今後生涯にわたって毎年同額の消費を行うとしたとき、この人の稼得期の毎年の貯蓄額はいくらか。ただし、個人の消費行動はライフサイクル仮説に基づき、稼得期の最初に資産を持たず、また、遺産を残さず、利子所得はないものとする。

  1. 200万円
  2. 250万円
  3. 300万円
  4. 350万円
  5. 400万円


No.27

経済成長理論に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. ハロッド=ドーマーの成長理論では、保証成長率が現実の成長率を上回る場合、生産者は資本ストックが不足していると感じ、投資を増加させるため、経済は拡大の傾向をたどるとする。
  2. ハロッド=ドーマーの成長理論では、保証成長率、自然成長率及び現実の成長率が一致していれば、資本も労働も完全に操業、雇用され、均衡成長が実現し、長期的にこの3つが必ず一致するとする。
  3. 新古典派成長理論のソロー・モデルでは、資本と労働の代替性があることを前提にしており、貯蓄率が上昇すると、資本労働比率は低下し、一人当たりの国民所得は低下するものの、価格調整メカニズムにより、長期的には保証成長率は自然成長率に一致するように調整されるとする。
  4. 内生的経済成長理論では、長期的な経済成長は、労働者の教育水準が上がり、政府が公共投資をすることで人的資本や公的資本が内生的に影響を与えることによるものであり、生産技術の進歩や企業の研究開発といった民間資本ストックや金融資本の蓄積によるものではないとする。
  5. 内生的経済成長理論のAKモデルでは、資本の投入に関して資本の限界生産性は逓減せず一定であるとし、長期的に、生産量は資本ストックの増加とともに比例的に増加していくことに特徴があるとする。


No.28

ある国の経済において、マクロ経済モデルが次のように表されているとする。

 C=40+0.6(Y-T)
 I=100-2r
 G=40
 T=40
 L=200+Y-4r
 M=500
 L=M
Y:国民所得、C:民間消費
I:民間投資、G:政府支出
r:利子率、T:租税
L:貨幣需要量、M:貨幣供給量

このモデルにおいて、政府が税収を変えずに政府支出を18増加させる場合、国民所得はいくら増加するか。
ただし、物価水準は一定であると仮定する。

  1. 10
  2. 20
  3. 30
  4. 40
  5. 50


No.29

次のⅠ図及び 図は2つの異なるモデルについて縦軸に物価を、横軸に国民所得をとり、総需要曲線Dと総供給曲線Sを描いたものであるが、それぞれの図の説明として妥当なのはどれか。


  1. Ⅰ図は、ケインズ派モデルにおける総需要曲線と総供給曲線を描いており、このモデルでは政府支出を増加させる財政政策を行うと、総需要曲線Dが左下方にシフトし、クラウディング・アウトが生じるため、国民所得は減少する。
  2. Ⅰ図において、労働者の名目賃金率が上昇すると、総供給曲線Sが右下方にシフトするため、物価は下落し、国民所得は減少する。
  3. 図は、新古典派モデルにおける総需要曲線と総供給曲線を描いており、この状況では、貨幣供給量を増加させる金融政策を行っても、国民所得は変わらない。
  4. 図において、政府支出を増加させる財政政策を行うと、総供給曲線Sが右方にシフトするため、物価は下落し、国民所得は増加する。
  5. Ⅰ図、 図ともに、総需要曲線と総供給曲線が交わるE点において、完全雇用が実現されている。


No.30

次の図は、所得税の勤労意欲に対する影響を、縦軸に税収を、横軸に税率を、税収可能曲線をD、曲線Dの頂点をTとし、Tから横軸に向けて垂線を描いたものであるが、その説明に関する記述として、文中の空所A~Cに該当する語の組合せとして、妥当なのはどれか。

税収は本来税率を引き上げると増大する。しかし、税率が極端に高くなると勤労意欲に対する悪影響を及ぼして課税ベースの国民所得が著しく低下し、税収も減少するようになる。税率を引き上げても税収が減少する領域を「領域」と呼び、下の図では網掛けの部分である。この曲線は、の経済学者の名をとって、曲線と呼ばれている。アメリカのレーガン政権はこれに基づいて減税政策を行った。


1. 禁止 サプライサイド経済学 ルーカス
2. 非効率 サプライサイド経済学 フリードマン
3. 禁止 合理的期待形成仮説 ルーカス
4. 非効率 合理的期待形成仮説 ラッファー
5. 禁止 サプライサイド経済学 ラッファー





No.31

第二次世界大戦後の我が国の財政運営に関するA~Dの記述のうち、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

 A 第二次世界大戦後、国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入をもって、その財源としなければならないという均衡予算の原則が守られていたが、1965年度に第二次世界大戦後、初めて国債が発行された。
 B1950年代の高度成長期には、遅れが表面化した農業、中小企業への補助金は増大し、所得再分配機能が財政を通じて働いていたので、地方交付税交付金の支出は実施されたことはなかった。
 C1970年代は、福祉元年と称された老人医療の無料化により政府支出が増大し、特例国債を伴う赤字財政を進めたため構造的な赤字を生み出すことになり、財政再建の試みとして、大平内閣により消費税が導入された。
 D2001年に発足した小泉内閣では、財政を含めた構造改革を実行し、郵政民営化、道路公団民営化や地方分権推進のための三位一体改革に取り組んだ。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.32

地方財政の分析指標に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 経常収支比率とは、地方公共団体の財政構造の弾力性を判断する指標で、経常的経費に経常一般財源収入がどの程度充当されているかを見るものであり、この比率が高いほど財政構造の硬直化が進んでいることを表している。
  2. 実質収支比率とは、地方公共団体の収支の均衡を判断する指標で、歳出決算額から歳入決算額を単純に差し引いた額の標準財政規模に対する割合を見るものであり、この比率が正数の場合は実質収支の黒字、負数の場合は実質収支の赤字を示している。
  3. 公債費負担比率とは、地方公共団体における公債費による財政負担の度合いを判断する指標で、一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金の標準財政規模を基本とした額に対する割合を見るものであり、この比率が18%以上になると地方債の発行が制限されることになる。
  4. 実質公債費比率とは、地方公共団体における公債費による財政負担の度合いを判断する指標で、公債費に充当された一般財源の一般財源総額に対する割合を見るものであり、この比率が低いほど財政構造の硬直化が進んでいることを表している。
  5. 財政力指数とは、地方公共団体の財政力の強弱を判断する指標で、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値を見るものであり、この数値が高いほど自主財源の割合が低く、財政力が弱いことを示している。


No.33

次の文は、租税制度に関する記述であるが、文中の空所A~Dに該当する語又は人物名の組合せとして、妥当なのはどれか。

税は、をある一定期間内における実際の消費額と資産の純増との合計とし、それに同じ税率表を適用して課税するのが公平で、それが望ましい税制の形であるとする考え方であり、らにより主張された。税は、しばしば税に対抗的なものとして捉えられるが、より正しくは、その欠陥を補正し、その考え方を完結させようとするものである。つまり、負担能力の尺度を消費に求め、これをベースに直接税として累進課税すべきであるとする考え方であり、らにより提唱された。

1. 支出 カルドア 包括的所得 マーリーズ
2. 支出 サイモンズ 包括的所得 カルドア
3. 包括的所得 カルドア 最適所得 マーリーズ
4. 包括的所得 サイモンズ 支出 カルドア
5. 最適所得 マーリーズ 支出 サイモンズ


No.34

財政の役割に関するA~Dの記述のうち、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

 A 財政制度自体が景気を安定化させる作用を持つことをビルト・イン・スタビライザーといい、所得税だけでなく法人税にもこのような作用がある。
 B 失業保険給付制度には、景気変動に左右される移転支出がみられるので、失業保険給付にはビルト・イン・スタビライザーの作用がある。
 C 市場が完全に機能し、資源が効率的に配分されているときは、必ず公平な所得分配も同時に実現されているので、政府が所得再分配の役割を果たす必要はない。
 D 政府の役割として、医療などの福祉サービスの提供があり、これは資源配分の役割を果たすが、所得再分配の役割は果たさない。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.35

閉鎖経済の下で、政府支出を100億円増加し、それを同額の増税で賄う場合、均衡予算乗数の定理に基づいて計算したときの国民所得の変化に関する記述として、妥当なのはどれか。ただし、租税は定額税であり、限界消費性向は0.8とし、その他の条件は考えないものとする。

  1. 国民所得は、100億円増加する。
  2. 国民所得は、400億円増加する。
  3. 国民所得は、500億円増加する。
  4. 国民所得は、100億円減少する。
  5. 政府支出の増加は、増税と相殺され、国民所得は変化しない。


No.36

意思決定論に関するA~Dの記述のうち、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

A サイモンは、目標達成手段としての行動代替案は、十分な種類が識別されず結果も不十分な予測しか立たないので、意思決定の現実はあるべき理想状態からは乖離しているとし、意思決定には限界合理性があるとした。
B ウィリアムソンは、組織における意思決定は、選択機会、参加者、問題及び解の4つの流れが雑然とした詰め物の中で、偶然性に強く影響されてなされるというごみ箱モデルを提唱した。
C コーエン=マーチ=オルセンは、組織における個人を意思決定の主体として捉え、個人が個人的な動機に基づく行動の側面を示す個人人格と、組織目的の達成に関わる個人の行動の側面を示す組織人格とがあるとした。
D バーナードは、組織の有効性とは、組織の客観的な目的達成の度合いを意味し、その目的を達成するためにいかに有効な手段を選択し得るかという意思決定の能力に関わる問題であるとし、他方において、組織の能率とは、組織の構成員が得る個人的な満足の度合いを意味するとした。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.37

経営戦略論に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. ルメルトは、デュポン、GM、スタンダード・オイル、シアーズ・ローバックのアメリカ企業4社における組織改革の歴史を比較研究し、「経営戦略と組織」を著した。
  2. バーニーは、「競争の戦略」を著し、新規参入の脅威、業界内の競争状況、代替製品の圧力、売り手の交渉力及び買い手の交渉力という5つの要因から競争戦略を策定し、外部環境を分析するためのファイブフォース分析を考案した。
  3. ハメルは、プラハラッドとともにコア・コンピタンスの概念を、顧客に対して、他社では真似できない自社ならではの価値を提供する企業の中核的能力とし、その重要性を提唱した。
  4. ホファーは、経済価値、希少性、模倣困難性とこれらを活用する組織力の4要因に基づき、経営資源を活用する枠組みをVRIOフレームワークと呼んで、これを用いることで企業能力の評価の尺度とすることができるとした。
  5. ペンローズは、「多角化戦略と経済成果」を著して、多角化戦略の展開態様に着目し、関連分野に集中的に進出している企業の業績は高かったが、無関連多角化をしている企業の業績は振るわなかったとした。


No.38

生産管理に関する記述として、妥当なのはどれか。

1 フォード・システムとは、自動車の大量生産方式のことであり、製品、部品や生産工程の標準化を徹底し、車台に固定された自動車に作業者が部品を取付けに移動する移動組立方式を取り入れた。
2 トヨタ生産方式とは、徹底した無駄の排除をめざした生産方式で、在庫が少ないためにリーン生産方式ともいわれており、事前に計画されたスケジュールに従い、前工程から後工程へ向けて順次加工や組立てを行っていく押し出し方式の生産が採用された。
3 モジュール生産方式とは、製品の標準化と部品の規格化による少品種大量生産方式のことであり、製品の種類を単純化し、各種部品を一定の規格に統一することによって、部品の互換が容易になり、修理作業も著しく簡素化され、生産性を向上させた。
4 セル生産方式とは、1人ないし数人の作業者が製品の組立てや加工を行い、1つの製品を作り上げていく方式で、ライン生産方式と比較して、多品種生産に適している。
5 ISOとは、国際標準化機構の略称のことで、マネジメントシステムの国際化を進めており、ISO規格には、環境管理のための規格を定めたISO9000シリーズと品質管理のための共通規格を定めたISO14000シリーズがある。



No.39

賃金制度に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 職務給とは、労働者が担当する職務を基準に、その価値に応じて賃金が決まるとするものであり、欧米では採用されておらず、日本における一般的賃金決定基準である。
  2. 職能給とは、職務ではなく仕事を担当する労働者の能力に着目し、その職務遂行能力に応じて賃金が決まるとするものであり、すぐに賃金に響かないため、
    人事異動を行いやすい。
  3. コンピテンシー給とは、企業への貢献度により支給されるものであり、年齢、勤続、経験年数、学歴のうち、いくつかの要素によって基本給を決定する賃金制度であり、成果主義評価によるものではない。
  4. 年俸制とは、成果主義に基づき、業績に応じて賃金を決定する方法であり、日本は、前年度の業績に基づいて本年度の年俸を確定する確定型年俸を採用している企業が多く、専門職を対象とし、管理職に適用することはできない。
  5. ストックオプションとは、自社株式を毎年従業員が購入し、退職時、その株式を受け取る権利を与えるもので、株価の上下にかかわらずその権利を行使しなければならず、株価が上昇した場合は臨時の報酬を得ることができる。


No.40

次の文は、ホーソン実験に関する記述であるが、文中の空所A~Dに該当する語、語句又は人物名の組合せとして、妥当なのはどれか。

 ホーソン実験は、シカゴにあるウェスタン・エレクトリック社で実施され、まずが作業能率に及ぼす影響に関する実験と賃金の支払方法、休憩時間の導入を含めた労働時間の工夫など作業条件の変化が作業能率に及ぼす影響の実験が行われた。これらの実験の結果、作業環境などの条件と作業能率や疲労との相関関係
 次に、メイヨーやも参加して実験が継続され、作業能率は作業条件にではなく、むしろ職場のが醸成する労働者の感情や態度が作業能率や勤労意欲に重要な意味をもつことが発見された。

1. 室温 が実証された レスリスバーガー 物理的環境
2. 室温 は実証されなかった テイラー 物理的環境
3. 照明 が実証された レスリスバーガー 人間関係
4. 照明 は実証されなかった テイラー 物理的環境
5. 照明 は実証されなかった レスリスバーガー 人間関係


No.41

デモクラシーに関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. 古代ギリシアにおけるデモクラシーは、大規模な都市国家で行われ、政治参加の権利は市民権を持つ成人男女に平等であり、間接民主主義がとられていた。
  2. 参加デモクラシーでは、議会主義における間接民主主義をとっており、市民の政治参加は選挙での投票参加に限定される。
  3. レーニンは、「自由民主主義は生き残れるか」を著し、自由主義から国民主権の考えを取り入れ、民主主義から法の支配、少数者の権利尊重、言論・思想の自由、権力分立などの諸原則を取り入れた。
  4. マクファーソンは、「アメリカにおけるデモクラシー」を著し、対立関係にあった自由主義と民主主義を結びつけ、自由民主主義への道を拓いた。
  5. シュンペーターは、「資本主義・社会主義・民主主義」を著して、旧来の民主主義論を批判し、決定を行うべき者を選挙することを第一義的なものとし、選挙民による問題の決定を第二義的たらしめるという新しい理論を唱えた。


No.42

次の文は、ポルスビーの議会類型論に関する記述であるが、文中の空所A~Dに該当する語又は国名の組合せとして、妥当なのはどれか。

 アメリカの政治学者ポルスビーは、開放的な政治システムのもとにある議会の機能の中心が、議員・政党等に媒介された社会的要求を政策へ変換することにあるとし、現代議会を大きく次の2類型に整理した。
 型議会は、人々の要求を議員が法案にし、具体的な立法作業を議員が担っているので、「立法作業の議会」ともいう。そこでは、の議会が代表例とされている。
 型議会は、与党の意向に沿って官僚らが法案を作成し、議会は政府法案をめぐり与野党で論戦する「論戦の議会」ともいう。そこでは、 の議会が代表例とされている。

1. 変換 イギリス アリーナ アメリカ
2. 変換 アメリカ アリーナ イギリス
3. アリーナ アメリカ 変換 フランス
4. アリーナ イギリス 変換 アメリカ
5. アリーナ フランス 変換 イギリス


No.43

比例代表制の選挙において、A党は6,000票、B党は4,000票、C党は1,800票の得票があった。議席数が12議席である場合、ドント式による議席配分法でA党、B党及びC党が獲得する議席数の組合せとして、妥当なのはどれか。
   A   B   C
1. 5議席 4議席 3議席
2. 6議席 3議席 3議席
3. 6議席 4議席 2議席
4. 7議席 3議席 2議席
5. 7議席 4議席 1議席



No.44

近代日本の政治思想家に関する記述として、妥当なのはどれか。

1 徳富蘇峰は、新聞「日本」を発行した後、「近時政論考」を著して、国民主義を表明し、政府の安易な欧化政策と欧米に妥協的な不平等条約改正交渉を批判した。
2 陸南は、「将来之日本」を刊行して、平民主義を唱え、民友社の設立や雑誌「国民之友」の創刊を行ったが、後に世界の大勢により帝国主義者に転向した。
3 大杉栄は、「貧乏物語」を著した後にマルクス経済学を研究し、マルクス主義理論に基づいた「日本資本主義発達史講座」を刊行した。
4 幸徳秋水は、「社会主義神髄」を刊行して、日露戦争への非戦論を掲げ、平民社を結成し週刊「平民新聞」を創刊したが、大逆事件により処刑された。
5 河上肇は、雑誌「近代思想」を創刊したが、関東大震災の直後に憲兵大尉甘粕正彦によって伊藤野枝とともに殺害された無政府主義者である。



No.45

投票行動研究に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. ラザースフェルドを中心とするコロンビア大学のグループは、投票行動を決定する要因として、有権者の政党、政策争点、候補者に対する選好とその強度が重要であることを明らかにした。
  2. ラザースフェルドを中心とするコロンビア大学のグループは、有権者は、候補者や政党のこれまでの業績について判断して投票行動を決定する業績投票モデルを構築した。
  3. キャンベルを中心とするミシガン大学のグループは、パネル調査を実施し、社会経済的地位、宗教、居住地域の3因子が政治的先有傾向の形成に高い相関を持ち、この要因が投票行動に大きな関係があることを明らかにした。
  4. キャンベルを中心とするミシガン大学のグループは、有権者と政党との心理的結びつきを政党支持態度とし、この要因によって投票行動を決める場合が最も多いことを示した。
  5. キャンベルを中心とするミシガン大学のグループは、多くの有権者が投票時における政策争点を認知し、合理的判断によって投票行動していると分析し、全ての有権者が合理的な有権者であるとした。


No.46

次の文は、ラインとスタッフに関する記述であるが、文中の空所A~Dに該当する国名又は語の組合せとして、妥当なのはどれか。

 ラインとスタッフという用語は、における軍隊組織の役割分担に起因する。ラインとは、組織に与えられている課題についてに責任を負う職位系列を指し、この職位系列は指揮命令系統の一元化の原理に基づいて、上位の職位と下位の職位が単一の命令系統によって連絡する形態のことを指す。
 スタッフは、組織に与えられている課題にとってはな、財政や人事などラインを補佐する機能を行う。スタッフには、助言のみを行う助言スタッフやライン各部門に共通した補助的業務に従事するなどがある。

1. 日本 伝統的 専門的 サービス・スタッフ
2. 日本 直接的 間接的 ゼネラル・スタッフ
3. プロイセン 直接的 間接的 サービス・スタッフ
4. プロイセン 間接的 直接的 プロジェクト・チーム
5. アメリカ 間接的 直接的 ゼネラル・スタッフ


No.47

我が国の政策評価に関するA~Dの記述のうち、妥当なものを選んだ組合せはどれか。

 A 我が国の政策評価は、2001年に制定された「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づき、2002年4月に国において政策評価が実施されたのが最初であり、地方自治体に先行して国が導入した。
 B 国の政策評価の事前・事後評価における評価方式は、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づき策定された「政策評価に関する基本方針」のなかで事業評価方式、実績評価方式、総合評価方式の3類型が示されている。
 C 総務省は、2以上の行政機関に共通するそれぞれの政策であってその政府全体としての統一性を確保する見地から評価する必要があると認めるもの、又は2以上の行政機関の所掌に関係する政策であってその総合的な推進を図る見地から評価する必要があると認めるものについて、統一性又は総合性を確保するための評価を行うものとする。
 D 地方自治体による政策評価は、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づいて制定された、三重県の「事務事業評価システム」、北海道の「業務棚卸評価」や静岡県の「時のアセスメント」など、事務事業を評価対象としたものが中心となっている。

  1. AB
  2. AC
  3. AD
  4. BC
  5. BD


No.48

ファイナーの行政責任論に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. ファイナーは、機能的責任とは、特定分野の技術的・科学的知識に関し、政策の適否を判断しうるような専門家仲間ないし科学的集団によるチェックを指すとした。
  2. ファイナーは、政治的責任とは、転変する社会の新しい問題に的確に対応するために、民衆や議会に先んじて変化を予知し、政策をより有効なものに高めようとする公務員の責務であるとした。
  3. ファイナーは、民主的政府における行政責任は、XはYの事項に関してZに対して説明・弁明しうるという公式が成り立ち、説明・弁明の相手方の内在性が不可欠の要件であるとした。
  4. ファイナーは、民主的政府における行政責任は、議会に対する外在的な政治的責任でなければならず、道徳的義務への内在的・個人的感覚だけでは民主政は成り立たないとした。
  5. ファイナーは、行政責任を確保する手段として、行政官の専門家としての責任感や職業倫理を信頼すべきか、一般国民や議員の良識を信頼すべきかというジレンマが存在するとする、フリードリッヒの理論に賛同した。


No.49

アメリカ行政学に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. W.ウィルソンは、「行政の研究」の論文において、行政の領域は政治固有の領域外に存在するビジネスの領域であると主張し、行政は政治の決定したことを具体的に遂行する役割を果たすとした。
  2. グッドナウには、「政治と行政」の著作があり、政治とは国家意思の執行であり、行政とは国家意思の表現であるとした。
  3. ウィロビーには、「政策と行政」の著作があり、ニューディール時代の豊富な実務経験を背景に、行政とは政策形成であって多くの政治過程の一つであるとし、政治と行政の連続性を指摘した。
  4. アップルビーは、「行政国家論」を著して、能率自体が問われるべき価値ではないとし、必要なのは何のための能率であるのかを問う必要性を提起した。
  5. ワルドーは、「行政の諸原理」を著して、政治と行政の分離論を明確に打ち出し、行政学の目的は作業能率を確保することであり、その目的の達成には科学的な方法を適用することで決定される基本原理を遵守することが必要だとした。


No.50

次の文は、我が国の大都市制度の変遷に関する記述であるが、文中の空所A~Dに該当する語又は語句の組合せとして、妥当なのはどれか。

 昭和31年に創設された制度は、大阪市や名古屋市等の大都市は府県から独立して、特別市として府県の権限と市の権限を併せ持つことをめざしていたが、府県は特別市構想に強く反対したため、その妥協の産物として創設された制度である。
 また、都区制度に関しては、昭和49年の地方自治法改正により、特別区においてが復活し、平成10年の地方自治法の改正により、都が一体的に処理するものを除き、一般的にが処理するものとされている事務を特別区が処理することとされ、特別区は、地方公共団体とされた。

1. 政令指定都市 区長の公選制 市町村 基礎的な
2. 中核市 区長の公選制 都道府県 広域的な
3. 政令指定都市 都職員配属制度 市町村 基礎的な
4. 特例市 都職員配属制度 都道府県 広域的な
5. 中核市 都職員配属制度 市町村 普通


No.51

大衆社会論に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. ル・ボンは、「世論と群衆」を著し、ジャーナリズムやマスコミが提供する情報に基づいて利害や関心を共有する人々を公衆と名付け、冷静に行動することのできる理性的な存在とみて、近代民主主義を支えるものとして肯定的かつ積極的に評価した。
  2. タルドは、「群衆心理」を著し、群衆は何かの事件をきっかけにして街頭に集合する大量の人間を意味し、その場の雰囲気によって簡単に扇動される非合理的な情動すなわち群衆心理の支配する存在として批判的な見方をした。
  3. マンハイムは、「孤独な群衆」を著し、人間の社会的性格を伝統指向型、内部指向型及び他人指向型の3類型に分類し、現代の大衆社会においては、仲間や世論という他者に承認を求め同調する他人指向型が支配的であると指摘した。
  4. コーンハウザーは、「大衆社会の政治」を著し、大衆のエリートへの接近可能性の高低と、エリートによる大衆操作の可能性の高低という2つの要因を抽出し、その高低の組合せにより、共同体的社会、多元的社会、大衆社会、全体主義的社会の4つの社会類型に分類した。
  5. リースマンは、「変革期における人間と社会」を著し、現代社会には産業社会と大衆社会の二側面があり、産業社会として精密化された現代社会の機構は、大衆社会に集積している非合理的衝動の暴発によって、全面的な破壊に陥る危機に直面しているとした。


No.52

M.ウェーバーの官僚制に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. M.ウェーバーは、支配の3類型として合法的支配、伝統的支配、カリスマ的支配を提示し、合法的支配の最も純粋な型が官僚制的支配であるとした。
  2. M.ウェーバーは、官僚制は大規模な組織である行政機関に限られたものであり、大規模な組織がすべて官僚制的特質を示すものではないとした。
  3. M.ウェーバーは、官僚制の固有の特徴として、権限の明確なヒエラルヒーは存在しないが、成文化された規則が、組織のあらゆるレベルで職員の行動を統制するとした。
  4. M.ウェーバーは、機械的システムと有機的システムという組織類型を提案し、機械的システムが、明確な回路をとおして意思の疎通が上下方向で行われる官僚制的システムであるとした。
  5. M.ウェーバーは、官僚制組織が非効率的になる可能性を認識し、官僚制の規則に基づく管理は、顧客との軋轢あつれき、職員の規則への固執という潜在的逆機能を生み出すとし、これを官僚制の逆機能と呼んだ。


No.53

次の図は、バージェスの同心円地帯モデルを表したものであるが、図中のA~Cに該当する語の組合せとして、妥当なのはどれか。


1. 遷移地帯 中産階級住宅地帯 労働者住宅地帯
2. 遷移地帯 労働者住宅地帯 中産階級住宅地帯
3. 労働者住宅地帯 中産階級住宅地帯 遷移地帯
4. 中産階級住宅地帯 遷移地帯 労働者住宅地帯
5. 中産階級住宅地帯 労働者住宅地帯 遷移地帯


No.54

パーソナリティ又は社会的性格に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. S.フロイトは、パーソナリティをイド、超自我、自我から構成されるとし、イドは無意識の部分で、衝動の実現それじたいを追及するところの快感原則に従うものであり、超自我は、道徳的態度を内面化したものであるとし、自我は、イドと超自我との葛藤を調整するとした。
  2. G.H.ミードは、因襲に対して無批判に同調し、権威ある存在に従順であると同時に無力な存在に対して、攻撃的である特性をもった権威主義的パーソナリティは、ファシズムのイデオロギーを受け入れやすいとした。
  3. E.フロムは、個人は、乳児期から青年期や成人期を経て成熟期にいたるライフサイクルの諸段階を通過するが、各段階には、その段階において解決しなければならない課題があるとし、青年期は、アイデンティティの危機に最も直面するとした。
  4. E.H.エリクソンは、一つの集団や階層の大部分の成員が共有している性格構造の本質的な中核であり、その集団や階層に共通な基本的経験と生活様式の結果として形成されたものを「社会的性格」と名付けた。
  5. R.ベネディクトは、「菊と刀」の中で日本人の社会的性格について言及しており、内なる良心に依拠する行動をする「罪の文化」を日本人の固有の社会的性格とした。


No.55

現代社会学の理論に関する記述として、妥当なのはどれか。

  1. ガーフィンケルは、「行為と演技」の著作において、日常の相互行為を劇場のパフォーマンスとしてみるドラマトゥルギーという発想を足場として、相互行為秩序は、人々の自発的な振る舞いを通して保たれるとした。
  2. ブルデューは、「ディスタンクシオン」を著し、ハビトゥスとは、個人の評価や行為を持続的に方向づけ、社会的に植えつけられた性向を指し、文化資本とは、家庭環境や学校教育などを通じて各個人に蓄積され、さまざまな社会的行動の場面において有利、不利を生み出す有形、無形の領有物であるとした。
  3. ゴフマンには、「社会理論の最前線」の著作があり、社会システムが人々の日常生活の様々な拘束のもとに、認知しえない行為の諸条件と意図しない諸結果とによって自覚なく暗黙のうちに再生産している規則と資源との働きを中核とした構造化理論を提案し、行為と構造の媒介装置を問題とした。
  4. ギデンズには、「社会システム理論」の著作があり、システムの自己準拠の概念を、システムが構造だけでなくすべての構成要素を自己において再生産することを強調するというオートポイエーシス概念によって補強した。
  5. ルーマンは、「エスノメソドロジーの研究」を著し、エスノメソドロジーの研究は、日常活動をありきたりの日常活動の組織として、この活動をあらゆる実践的な目的にとって目に見えて合理的で報告できるものにすることであるとした。