教養論文で重要なのは、まずはじめに文章全体の構成を考えること

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このページでは、教養論文試験などの本番で本文を書き始める前に、まずは行っておくべき作業について解説します。

目次の意義

まさにこのページもそうなのですが、本サイトではほとんどのページに、目次を置いています。


そのページで書かれているおおよその内容を、あらかじめつかむことができるように、ということを意図してのことです。

目次は文章の設計図

およそ、何らかの情報を提供することを目的とした媒体には、目次に相当するものが付されています。


もし目次がなければ、その情報の要旨は、最後まで見ないことには把握することができません。


例えば学術論文であれば、冒頭には目次に類するものとして、その分全体のサマリー(要約)が配置されています。
このサマリーを読むことによって、その論文の全体に目を通す必要があるかどうか、程度判断することができるわけです。


このように、目次とはその文章の内容を簡潔に示す、いわば文章の設計図といえるものです。
※ただし、この文章の設計図というのは文章の書き手の視点に立った場合のもので、文章の読み手視点に立てば、それは文章の完成図であるといえます。

文章を書く場合の目次

公務員試験対策に限った話ではないですが、ある程度まとまった文章を書く際、目次ということを意識することが重要です。
もちろんこれは、教養論文の冒頭に目次を配置すべき、というような話ではありません。


文章を書くにあたっては、まず始めに目次を作って、文章全体の構成を考える必要がある、ということです。
目次を作ることによって、漠然としていた考えが明確になってきます。


考えが明確になることで、当初入れようと思っていた事柄が、入れるべきではないと判断(根拠が不十分である、論旨が一貫していない等)できたり、逆に、入れるべき事柄が見えてくるなど、文章全体の構成がスムーズに進むようになります。

目次を構成しておかいないとどうなるか

目次を作る作業をしないままに、ただ闇雲に文章を書き進めてしまうと、必ず途中で、文意がうまくつながらなくなったり、論旨が曖昧になる、といった事態に陥ります。


そうなると、それまでに書いた文章を、また一から練り直すことになってしまいます。


これでは明らかに二度手間なので、時間の限られた試験中にこういった事態に陥ることは、ぜひとも避けたいところです。


であれば、目次という文章全体の設計図を、はじめにきっちりと作っておくのがベターであるといえます。

目次の作り方

ちょっと導入部分が長くなってしまいましたが、いよいよ目次を作る手順について解説します。

結論を決める

まずはじめに、これから書こうとする文章の結論を決めてしまいます


たとえば、

「電車にはお年寄りや身体の不自由な人のために優先席が設けられていますが、そうした人に席を譲るのは当然のことであり、わざわざ優先席を設ける必要はないという主張もあります。こうした主張について、賛成もしくは反対の立場から、あなたの考えを簡潔に述べなさい。」



という課題が出たとします。


このような例の場合には、まずは、反対か賛成かをはじめに決めてしまいます。
この例の場合、賛成か反対かという二者択一の結論を求められているパターンなので、結論を決めてしまうのは簡単です。


では、

「2020年に行われる東京オリンピックでは、たくさんの外国人観光客が競技場の近くに訪れると予想されます。1.たくさんの外国人観光客が訪れることによって生じると考えられる問題について述べなさい。2.その問題を解決するために、行政としてどのようなことができることについて、あなたの考えを述べなさい。」



という課題だったらどうでしょう。


このような課題では、自分で問題点を挙げ、その解決方法について述べることが求められています。
こうした場合でも、やはりはじめに結論を決めてしまいます。


例えば、

  • 問題点:たくさんの外国人観光客が一度に泊まるため、一時的に宿泊施設が足りなくなる
  • 解決方法:個人宅宿泊(いわゆる民泊)の営業条件を緩和する



といったような具合で、まずは結論を決めてしまいます。


くれぐれも、書きながら考えようなどとしてはいけません。


はじめにも言いましたが、書きながら考えようとしても、途中で必ず行き詰まってしまいます。


これは、さしずめ地図(目次)を持たずに、見知らぬ町(これから書こうとする文章)で、目的地(結論)へ向かおうとするようなものです。
このように喩えれば、目次なしに文章を書き進めてスムーズに結論へと至ることが、いかに困難であるのか、良くわかると思います。


最後にもう一度言いますが、文章を書く際には、最初に結論を決めてしまうことが重要です。

具体例を挙げる

結論さえ決まってしまえば、次にやるべきことは、その主張を補強する具体例を挙げることです。
具体例を挙げることで、自分の主張を補強することができます。


具体例があることで、自分の主張する内容について、読み手に「なるほどその通りだ」と、納得してもらいやすいということです。


主張を補強するための材料としては、2つ、または3つの具体例をあげれば十分だとは思いますが、これは試験で課されている文字数によっても変わってきます。

文字数800字程度の場合

小規模な市町村や準公務員の試験などですと、教養論文で書くことが求められる文字数は、800字程度である場合が多いです。


この程度の分量であれば、字数的にあまり多くの具体例を挙げることはできないので、1つか、多くても2つの具体例を挙げておけば十分であると言えます。

文字数1000字以上の場合

都庁や政令市など、大規模な自治体になると、1,000字~2,000字程度で書くことを求められる場合があります。

こうした分量の多い文章を書くことが求められている場合には、必然的に挙げるべき具体例の数も多くなります。


ただし、具体例はあくまでも主張を補強するための材料に過ぎないので、具体例ばかりだらだらと書いても意味がありません。
文章全体の分量が多いような場合でも、具体例の数は3つ以内に収めておいたほうが良い、と個人的には思います。

導入部分を考える

文章として、いちばんはじめに配置される導入部分については、文章構成を考える段階では一番最後に考えます。
すでに出来上がっている自分の主張に、自然な流れでつながるような導入をパズルのピースのように当てはめればよいのです。


文章の設計図である目次ができあがった段階で、満を持して文章を書き始めていきます。


文章を書き進めている最中は、自分が今、目次のどの部分を書いているのかを常に意識して、はじめに作った文章構成からずれてしまうことがないよう注意する必要があります。


このように書き進めていけば、途中で詰まることなく、スムーズに文章を書き終えることができるはずです。

まとめ

最後に教養論文の書き方の手順についてまとめると、次のようになります。

  • 目次は、文章全体の設計図である
  • 文章を書き始める前に、まずは文章全体の目次を考える
  • 目次は結論から考えて、具体例、導入部の順で作る



ここまで書いておいてこんなことを言うのもなんですが、実際のところ、万人に適した方法論などというものはないので、演習を続けていくうちに自分なりのやり方というものが、次第に見えてくると思います。