公務員試験における教養論文の書き方について解説

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公務員試験では、国家一般職試験や地方公務員試験の多くで、教養論文試験が課されます。
このページでは、そうした教養論文試験の書き方などについて、具体例を交えながら説明します。

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文章の構成

教養論文試験で、氏名や受験番号などの必要事項を書き終えたあとにやるべきことは、いきなり文章を書き始めることではなく、文章の構成を考えることです。


構成も考えずに文章を書き始めて、まともな(題意に即していて、かつ論理的な)文章をそのまま(修正せずに)書き上げることができるのは、よっぽど優れた能力を持っている人だけです。


普通は、まず文章の構成をよく練り、その後で文章を書き始める必要があります。


文章の構成とは、「序論・本論・結論」や「起承転結」などと言われるもので、文章の流れを大まかに示すものです。


私個人としては、論理的な文章を書くことが求められるている試験で、話題を転換する「転」は不要だと思っているので、「序論・本論・結論」のシンプルな構成をおすすめします。

文章の構成が上手くいかない時

文章の構成で困ったときには、その課題について過去・現在・未来に分けて考えるようにすると良いです。


例えば、「過去」の原因と考えられることを考察し、「現在」の状態について分析し、「未来」の課題の解決策を提示するというような感じで時間軸に沿って考えると、文章の構成を組み立てやすいと思います。


時間軸に沿って考えを述べていくという書き方で、大抵の試験には対応することができると思います(少なくとも、この書き方で対応できない試験は私の場合、ありませんでした)。

教養論文構成の具体例

それでは、具体的な例を交えながら、教養論文の構成の組み立て方について見ていきましょう。


なお、ここで課題として用いているものは、過去に私が受けた試験で出題されたものですが、その試験は公務員試験ではありません。

課題の例

試験時間:90分
試験課題:「あなたにとって「親」とはどういうものであるについて、あなたの考えを述べなさい。」
字数制限:1,200字以内

時間配分

試験時間全体の2~3割程度なら、文章の構成を考える時間に使っても全く問題ありません。
たとえば、試験時間が90分だったとすると、はじめの20分ほどを文章構成の時間に費やし、残りの70分程度で書き上げるこというのが一つの目安です。


構成さえしっかりとしていれば、あとは文字を書くだけなのですから、試験時間の7割ほどが残っていれば十分可能です。


もし書くのに時間がかかってしまうのであるとすれば、それは文章の構成がしっかり組み立てられていないからです。


なお、時間が余った場合の見直しについてですが、誤字・脱字がないかを確認する程度に留めておくのが良いと思います。


仮に大幅に修正すべきところが見つかったとしても、それを後から修正することは困難ですが、誤字・脱字程度なら容易に直せるからです。


なので、試験時間が余った場合には、簡単に見返す程度にして、速やかに退席してしまう方が良いと考えます。
教養論文試験のあとに、別の試験が控えているのであれば、早めに退席することで後の試験の対策に時間を充てることができます。

文章構成の実際

文章構成の具体的な進め方としては、まず大きな枠(序論・本論・結論それぞれの分量)を決めてしまい、それから、より細かい枠を決めていくようにすると良いです。

大枠の構成

まずは、「序論」、「本論」、「結論」それぞれの目標字数を決めます。
たとえば、字数制限が1,200字以内だとすると次のような感じで、まずはそれぞれの配分を決めてしまいます。

  • 序論(200字)
  • 本論(800字)
  • 結論(200字)

分量を決めてしまえば後は、その分量を満たすのに必要な材料を使って肉付けを行っていくだけです。

中枠の構成

大枠が決まった後は、より小さな枠を設定していきます。

  • 序論(200字)
    • 導入文(100字):”最近、姉の家庭に子どもが誕生し、「親」とはどのようなものであるのか、ということを考える機会があった。そこで、以下に私と「親」との関係性に言及しながら、私にとって「親」とはどのようなものであるのかについて述べてみたい”などと自然な形で論の展開を行えるような導入文を書きます(多少のフィクションも織り交ぜて)
    • 定義文(100字):”なお、私自身が「親」の場合ではなく、子である私から見た「親」についてどのようなものであるかを述べることとする”などと、与えられた課題に対してどのように論を展開するつもりなのかを明確にしておきます

  • 本論(800字):”私と「親」との関係性について考察し、そこから「親」とはどのようなものであるかについて述べる”などとして本論を書き始めます
    • 本論①(200字):これまで(過去)の私と「親」との関係性
    • 本論②(200字):現在の私と「親」との関係性
    • 本論③(400字):これから(未来)の私と「親」との関係性

  • 結論(200字):”私にとって「親」とは、ときに支えられ、ときに支え、互いに支え合うもの”、”私が「親」となった際には、私が「親」からしてもらったことを私の子どもにしていきたい”などと、結論めいたことを書きます

小枠の構成

  • 序論(200字)
    • 導入文(100字):”最近、姉の家庭に子どもが誕生し、「親」とはどのようなものであるのか、ということを考える機会があった。そこで、以下に私と「親」との関係性に言及しながら、私にとって「親」とはどのようなものであるのかについて述べてみたい”などと自然な形で論の展開を行えるような導入分を書きます
    • 定義文(100字):”私自身が「親」の場合ではなく、子である私から見た「親」について述べる”などとこれから展開する論の基本姿勢を明確にしておきます

  • 本論(800字)
    • 本論①(200字):過去の私と「親」との関係性
      • 本論①(200字):”これまでの私にとって、「親」は衣・食・住の面で経済的な支えであった。例えば、…”などと具体例を交えながら述べます
    • 本論②(200字):現在の私と「親」との関係性
      • 本論②(200字):”現在の私にとって、「親」は精神的な支えである。例えば…”などと具体例を交えながらを述べます
    • 本論③(400字):未来の私と「親」との関係性
      • 本論③(100字):”これまでは経済的・精神的に支えられてきたが、これからは私が支えていきたい”などとかきます。
      • 具体例①(150字):”これまで親には経済的に支えてきてもらった分、「親」が高齢となった際には、医療費の面などで私が「親」を経済的に支えていきたい”などと考えを述べます。
      • 具体例②(150字):”また、経済的に支えると同時に精神的にも「親」の支えとなりたい(例:親に孫の顔を見せる、親と同居するなど)”と考えを述べます

  • 結論(200字):”私にとって「親」とは、あるときは支えられ、またあるときは支え、互いに支え合うものである”、”私が「親」となって子を持った際には、私が「親」からしてもらったことを私の子どもにしていきたい”などと結論めいたことを書きます



上に示した文章構成は、かなり具体的な部分まで書き込んだので、字数的には450字ほどあります。
この課題例の場合、字数制限が1,200字以内ですので、後は150字~200字程度の具体例を3~4つ加えれば、必要な分量を満たせます。


このように、初めに構成さえしっかりと組み立ててしまえば、90分で1,200字以内の文章を書くことなど、それほど難しいことではないと思えるのではないでしょうか(ちなみにこのページの文字数は見出しを除くと、3,100字ほどです)。


実際の試験時にはここで示した具体例ほど、事細かな構成を組み立てる必要はありません。もっと大まかなもので大丈夫です。
もちろん、詳細な構成であればあるほど、それだけ文章を書き上げるのは楽になりますが。


教養論文試験は、その名の通り、ある程度の教養(知識)が身に着いていれば、あらかじめ書くことを用意していなくても、その場でいくらでも指定字数分の論を展開することは可能だと思います。


もし、そうでないとしても、教養論文試験に対応した参考書が何冊か出ていますから、そういった場合には、これらを最大限利用すると良いでしょう。

おすすめの教養論文試験対策参考書

最後に教養論文試験の対策におすすめの参考書を、いくつか紹介しておきます。