公務員への転職を考えている方に知っておいてもらいたい2つのこと

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公務員試験受験者の中には、すでに社会人として働いており、公務員への転職を考えている方も多いのではないかと思います。
ここでは、元公務員という立場から、公務員の実情について、正しく知っておいてもらいたいことを、お話しします。

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公務員に対する一般的なイメージ

まずは、公務員に対する世間一般のイメージを2つ挙げ、次に、それぞれのイメージについて実際のところはどうなのか、ということを、お話ししたいと思います。

安定

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公務員のイメージと問われて、多くの人が一番最初に挙げるのは、この言葉ではないでしょうか。
ここでの安定とは「収入」や「身分」のことを指してイメージされた言葉であると考えられます。


収入の安定は、基本的にはクビになることがないという身分の安定によってもたらされるものです。
つまり、公務員の「安定」とは、「身分の安定」に集約することができます。


公務員は、社会的な信用度が高かったり、クビになることがないというのは、今のところ紛れもない事実です。
しかしながら、現状がそうだからといって、今後もそうであるという保証はどこにもありません。

公務員の安定は今後も続くのか?

公務員の今後の安定を脅かすと考えられる大きな要因があります。
それは、日本の人口減少問題です。

人口減少社会

総務省統計局の見解によれば、2011年から日本は人口減少社会に転じています。
また、今後も人口はさらに減少し続けることが確実視されています。


人口減少の問題は、今対策を取ったからといって、すぐに効果の現れるものではありません。
しかも、わが国では人口減少問題に対して、効果のある対策を行うことができていないのが現状です。

人口減少による税収の減少

人口が少なくなれば、必然的に自治体の財政規模は小さくなります。
なぜなら、自治体の予算(歳入)は、税収によって賄われており、人口が少なくなれば、それだけ税収も少なくなるからです。


自治体に必要な職員の数は、その自治体の規模に比例します。自治体の人口が少なくなれば、やはり、必要な職員の数も少なくなります。


もちろん、税収の減少は、税率を上げることでカバーすることは可能です。
しかし、税率を上昇させるとしても、それには限界があります。

公務員にも「リストラ」がある?

総務省では、毎年「地方公務員の懲戒処分等の状況」を調査し、その結果を公表しています(参考:平成26年度における地方公務員の懲戒処分等の状況)。


この調査結果を見ると、「職制等の改廃等により過員等を生じた」ことを理由に、毎年、数百名程度(直近3年間の平均:464名)が免職(クビ)となっていることがわかります。


これは、民間に置き換えて言えば、人員整理による「リストラ」にほかなりません。
このように、公務員といえども、必ずしも「安定」しているわけではないのです。


もちろん、「勤務実績が良くない場合」や「職に必要な適格性を欠く場合」で免職になることもありますが、上記の場合に比べると少数にとどまります(数十名程度)。


今後ますます厳しくなることが予想される財政事情により、公務員(自治体職員)といえども、クビになる可能性は、大いにあると言えるでしょう。
また、クビになることはなくとも、税収の減少により、給与は確実に下がっていくものと考えられます。


今ある公務員の「安定」に魅力を感じて、公務員への転職を考える前に、”今後も”公務員は「安定」しているのかということを、一度よく考えてみてもらえればと思います。


ここで、公務員の実情を知るのに役立つと思われる本を紹介しておきます。これから公務員になろうと考えている人には、ぜひ読んでおいてもらいたい1冊です。


この本の著者は、「現役」の公務員であり、著者の経験を基に公務員の実情について書かかれています。マンガとエッセイを織りまぜた構成となっていて読みやすく、公務員の実情を知るには、まさにうってつけの本であると言えます。

定時に業務終了

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公務員に対しては、定時で帰ることがきるというイメージも根強く持たれているように感じます。
私も、「公務員は定時で帰れるからいいよね」などと言われた経験は、1度や2度ではありません。

誤まったイメージを生み出す原因は?

たしかに、17時のチャイムとともに、帰る職員がいることは事実です。
しかし、そうした職員は一部の特殊な職員に限られ、それが誤ったイメージを持たれる原因となってしまっています。

非正規職員

基本的に、17時に帰ることができるのは、非正規職員に限られます。
今どきの自治体では、職員の人件費を抑えるために、多数の非正規職員を雇用しています。
非正規職員についても、時間外での勤務が発生すれば、当然、時間外勤務手当を支給しなければなりません。
そもそも非正規職員を雇っているのは、人件費を抑えるためですから、あまり時間外が発生してしまっては、それだけ時間外勤務手当を支払わなければならず、それでは具合が悪いわけです。


こうして、17時の業務時間終了とともに、多数の””正規職員が、役所の建物を出て、一斉に帰宅します。


この光景を目にした民間の会社に勤める方々は、「公務員は定時に帰ることができるのだ」、という誤ったイメージを持ってしまうことになります。

正規職員の場合

一方、正規の職員は、非正規職員が帰宅した後も、仕事をしています。
もちろん、部署によって、残業の程度に差はありますが、ほぼ定時で帰るということはありませんでした。

実例:私の場合

私の場合を一例に挙げると、忙しい時期には、毎日21時近くまで仕事をしていました。
これを1ヶ月(22日)で考えると、月に80時間以上の残業をしていたということになります。
さらに、私の勤めていた自治体は財政状況が芳しくないこともあり、ほぼ全てサービス残業でした。
予算のかねあいから残業手当が支給されることはほとんどなく、これはどの職員についても同じでした。


民間の場合であれば、もっと長い残業を経験されている方もいらっしゃるかもしれませんが、公務員であっても決して定時で帰れるわけではないということを、認識しておいてもらいたいと思います。

まとめ

何だか公務員の悪い面ばかりを紹介することになってしまいましたが、公務員の実態について、包み隠さずお話ししたつもりです。
私自身、思うところあって、公務員を辞めてしまったこともあり、現時点では、なかなか公務員の良い面を思いつけないため、このような紹介の仕方になってしまいました。


どうにも歯がゆいのですが、今後、公務員の良い面が思い浮かびましたら、そのときはまた、別の記事にして書きたいと思います。


最後に、社会人採用枠で公務員試験を受けることを考えている社会人の方は、以下の2冊に目を通しておくことをおすすめします。





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