国や地方自治体などの公的機関が何らかの、売買、委託、請負契約を行う場合には、競争入札によることが基本とされています。
ここでは、そうした競争入札の仕組みなどについて簡単に説明したいと思います。


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入札とは?

単に入札と言う場合、それは一般的に競争入札のことを指します。競争入札とは、入札情報を公告して参加申込を募り、希望者同士で競争に付して契約者を決める方式のことを言います。契約を行うに当たって公平性と透明性を担保するために、公的機関では、競争入札という手続きが必要とされているのです。


競争入札には、一般競争入札制限付き一般競争入札指名競争入札などがあります。
なお、競争入札によらずに、契約を行うことを随意契約といいます。

競争入札における公平性

ここで、話を少し戻して、競争入札における公平性と透明性について、詳しく説明します。


競争入札の場合、その入札に参加するかどうかは、その者の自由(参加機会の公平性)です。また、入札でどの参加者が落札するのかは、応札額によってのみ決まるため、参加者には等しく落札の機会(落札機会の公平性)があるとうことになります。


これが、競争入札における公平性ということです。


競争入札における透明性

透明性についてですが、国や地方自治体の予算は、国民の税金を基に成り立っているため、その予算の執行に当たる契約については、予算が何に使われているのかを、広く国民に公表しなければなりません。


例えば、国の各機関においては、財務省大臣通知である「公共調達の適正化について(平成18年8月25日付財計第2017号)」に基づき、競争入札による契約(随意契約を含む)では、契約(工事、物品、役務等)の名称、契約の相手方、落札金額、予定価格、落札率等の情報を公開することとされています。


この意味で、競争入札には透明性があると言えますが、談合などの問題もあり、さらなる透明性の確保が必要であるとされています。

競争入札の種類

競争入札には、大きく分けて一般競争入札指名競争入札があります。
また、一般競争入札の中には、制限付き一般競争入札も含まれます。
以下、それぞれの契約方式について説明します。

一般競争入札

一般競争入札とは、競争入札のうち入札情報を公告して参加申込を募り、希望者同士で競争に付して契約者を決める方式をいいます。


はじめに述べたように、国や地方自治体などの公的機関が契約を行うには、一般競争入札に付すことが原則ですが、一般競争入札では、契約締結までに多くの日数と経費とを必要とします。
そのため、比較的少額の契約の場合や、短期間で契約を締結することが必要であるとする相当の理由がある場合など、一定の理由がある場合には一般競争入札によらず、より簡便な競争入札によることができます。


ここで、相当の理由が必要とされるのは、より簡便な方法をとる場合には参加資格が制限され、契約に至るまでの公平性や透明性が損なわれる可能性があるからです。その可能性をできるだけ小さくするために、より簡便な競争入札を行うには、相当の理由が必要とされます。


そうした一定の理由がある場合に行われる競争入札が、制限付き一般競争入札であり、指名競争入札です。

制限付き一般競争入札

制限付き一般競争入札とは、一般競争入札の中で、参加資格に一部条件を設けた入札方式をいいます。
具体的には、入札の参加資格として、「(経営審査事項における)総合評定値1,000点以上であること」という要件が設けられたり(総合評定値要件)、県内に本店があることという要件(地域要件)が設けられることになります。


この例で言えば、総合評点値が1,000点未満の業者については、この入札に参加する資格が無いということになります。また、神奈川県が入札の参加資格として、県内に本店のあることという地域要件を課している場合、東京に本店のある業者は参加資格が無いということになります。


こうした、参加資格に制限を設けた一般競争入札を、制限付き一般競争入札というのです。

指名競争入札

指名競争入札とは、競争入札参加資格者名簿に登載されている者のうちから、発注者である公的機関が、一定の要件をもとに指名する者を選定し、その指名された者同士の間で競争に付して契約者を決定する、入札方式のことをいいます。


発注者側が、参加者を指名するという点で、希望する者が原則(制限付き一般競争入札では参加資格に制限があります)参加できる一般競争入札と大きく異なっています。


入札の参加者が集まるのを待つのではなく、発注者側で競争入札参加資格者名簿(名簿に登録されているためには、事前に申請し、その申請が受理されている必要があります)を基に、名簿の中から要件を満たす者を選び出し、そのものの間で競争をさせるわけです。


指名競争入札においては、参加者を募る期間が不要になるわけですから、制限付き一般競争入札に比べて、契約締結に至るまでに要する期間が短いということになり、必要となる手続きもより簡略なものとなります。


しかしながら、指名競争入札の場合、一般競争入札に比べ、相手が恣意的になり、一部の者に偏重してしまう恐れがあるため、運用には十分注意することが必要となります。

随意契約

随意契約とは、国や地方自治体などの公的機関が、競争入札によらず、任意(これが随意ということです)に決定した相手と契約を締結する契約方式のことを言います。


すでに何度か述べたように、国や地方自治体が契約を行う場合、原則として競争入札によって契約の相手方を決定し、契約を締結します。


ですから、随意契約とは、法令の規定により認められた場合に限り、特別に行うことのできる例外的な契約方式ということになります。

随意契約が認められる場合

ここで、随意契約が法令で認められる場合について、いくつか具体例を挙げながら説明します。

予定価格が少額の場合

会計法第29条の3第5項、予算決算及び会計令第99条第2項~第7号、地方自治法施行令第167条の2第1項第1号、地方自治法施行令別表第5により、予定価格(貸借契約の場合は予定賃貸借料)が少額の場合には、随意契約によることができるとされています。


これには、特に具体例というものはなく、法令で定められた範囲内の額(下表参照)での契約については、競争入札によらず、随意契約を行うことができるとされています。

契約の種類 都道府県及び政令指定都市 その他市町村
工事又は製造の請負 250万円 250万円 130万円
財産の買入れ 160万円 160万円 80万円
物件の借入れ 80万円 80万円 40万円
財産の売払い 50万円 50万円 30万円
物件の貸付け 30万円 30万円 30万円
それ以外 100万円 100万円 50万円

契約の性質又は目的が競争を許さない場合

会計法第29条の3第4項及び、地方自治法施行令第167条の2第1項第2号の規定により、契約の性質又は目的が競争を許さない場合には、随意契約によることができるとされています。


競争を許さないとは、言い換えれば、競争に適さないということであり、具体的には、重要文化財である建物の補修などがこれに該当します。


重要文化財の補修などで極めて特殊な技術が必要とされるために、施工者が限定される工事などでは、自動的に相手方が特定されるため、その性質により競争入札には適さない(特命随意契約)、ということになります。

緊急の必要により競争入札に付することができない場合

会計法第29条の3第4項、及び地方自治法施行令第167条の2第1項第5号の規定により、緊急の必要により競争入札に付することができない場合には、随意契約によることができるとされています。


例えば、災害時に物資調達を行う場合などが、これに該当します。
災害等で緊急に調達の必要がある場合に、時間の掛かる競争入札の手続きを取っていたのでは、人命に関わるなど、著しく不利益となる場合です。

競争に付することが不利と認められる場合

会計法第29条の3第4項及び、地方自治法施行令第167条の2第1項第6号の規定により、競争に付することが不利と認められる場合には、随意契約によることができるとされています。


ここでいう不利とは、価格面においてのことであり、分かりやすい例でいうと、リース契約を行っていた物品等について、契約期間満了後も、業務上やむを得ない理由から、一定期間、再リース契約を行う場合がこれに当たります。


現に、物品をリースしている相手方と、その物品の再リース契約を結ぶことにより、新たに競争に付して契約を締結するよりも、大幅に経費を抑えられることが期待できるからです。



このように、随意契約には、競争入札に比べ、契約締結に至るまでの期間が短く、手続きもより簡素であり、小規模事業者でも参入可能である、というメリットがあります。


一方で、予算の効率化や、契約に至る手続きの公平性、透明性という点では、競争入札と比較して、大きなデメリット(談合の可能性)もあります。
したがって、公平性や透明性を保つためにも、みだりに随意契約を行うことは、慎むべきであるとされています。

見積り合わせ

見積り合わせとは、実績等勘案した上で2者以上の指名業者を選定し、見積書を徴して、最も有利な条件を提示した相手方と随意契約を行う、契約方式です。


こうしてみると表面上は、指名競争入札と似ているように思えるかもしれませんが、見積り合わせ(随意契約)の場合、入札とは異なり、必ずしも、選定業者が競争入札参加資格に登録されている必要はなく、任意で業者の選定を行うことができます。


また、開札に当たっても、競争入札のように参加者が1箇所に同時に集まるというようなことは基本的になく、担当者が提出された各見積り書の額を確認して、最も有利となる条件を提示した相手方と契約することになります。


ここで、最も有利な条件とは、価格のみによるものではなく、他の要素も含めて判断することになります。
つまり、必ずしも最低価格を提示した相手方と契約を締結するとは限らないということです。


さらに、見積り合わせの結果については、競争入札の場合のように、公表することが義務づけられているわけではないため、必ずしも、金額等が公表されるわけではありません。


このように、随意契約の一種である見積り合わせと競争入札の一種である指名競争入札とでは、形式上似たものとなっていますが、必要となる手続きが大きく異なっています。


なお、見積り合わせが指名競争入札と似通って見えるのは、公平性、透明性をできるだけ高めるために、簡略化しているとはいえ、手続き上、競争入札に準じた形を取っているからであり、当然のことと言えます。

1者随意契約(特命随意契約)

1者随意契約(特命随意契約)とは、随意契約において通常行われる2者以上の者での見積り合わせによらずに、特定の相手方と契約を締結する方式をいいます。


1者随意契約は、その性質や目的により相手方が一者に限られる場合や、契約金額がごく小額の場合(例:10万円々未満)にのみ行うことができる、特に例外的な契約方式です。

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まとめ

ここまでみてきた内容を簡単にまとめると、以下のようになります。

  • 競争入札
    • 一般競争入札 ※原則
      • 制限付き一般競争入札 ※一般競争入札の例外
    • 指名競争入札 ※競争入札の例外
  • 随意契約 ※競争入札の例外(法令の規定により認められた場合のみ)
    • 見積り合わせ
      • 1者随意契約(特命随意契約) ※契約金額が少額である場合や、契約の相手方がその性質や目的により特定される場合のみ



上記のリストでは、階層が深くなればなるほど、その契約方式を用いる際の事務手続きが、より簡略なものとなります。
一方で、階層が深くなればなるほど、その契約方式を適用できるための要件は、より厳しくなっていきます(例外的な扱い)。


たとえば競争入札の場合、基本は一般競争入札であるけれど、必要な要件を満たした場合に限って、例外的に指名競争入札を行うことができる、ということになっているわけです。


同様に、1者随意契約についても、基本は複数者での見積り合わせであるけれども、必要な要件を満たした場合にのみ、例外的に行うことができるわけです。(ただし、何度も言いましたように随意契約自体が、競争入札の例外扱いとなっています。)