厚生労働省の発表によると、平成28年9月15日現在での100歳以上の高齢者数は65,692人になったということです(参考:百歳の高齢者へのお祝い状及び記念品の贈呈について)。
100歳以上の高齢者数はほぼ毎年増え続けており、今年度の人数(65,692人)は昭和38年の調査開始以来、過去最多となっています。
上のニュースを受け、ここで改めて日本の少子高齢化の現状について、統計調査の結果を基に確認してみることにしました。
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15歳未満人口と65歳以上人口の推移
平成27年国勢調査の速報集計によれば、65歳以上人口の全人口に占める割合は26.7%となり、大正9年の調査開始以来最高の割合となっています(参考:平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要)。
上の資料から、15歳未満人口と65歳以上人口についての推移を抜粋します。
年次 | 15歳未満人口(千人) | 65歳以上人口(千人) | 備考 |
---|---|---|---|
大正9年(1920年) | 20,416 | 2,941 | 調査開始 |
大正14年(1925年) | 21,924 | 3,021 | |
昭和5年(1930年) | 23,579 | 3,064 | |
昭和10年(1935年) | 25,545 | 3,225 | 15歳未満人口が2,500万人を越える |
昭和15年(1940年) | 26,369 | 3,454 | |
昭和20年(1945年) | 26,477 | 3,700 | |
昭和25年(1950年) | 29,786 | 4,155 | |
昭和30年(1955年) | 30,123 | 4,786 | 15歳未満人口が3千万人を越える |
昭和35年(1960年) | 28,434 | 5,398 | 15歳未満人口が減少に転じる、65歳以上人口が500万人を越える |
昭和40年(1965年) | 25,529 | 6,236 | |
昭和45年(1970年) | 25,153 | 7,393 | |
昭和50年(1975年) | 27,221 | 8,665 | 15歳未満人口が増加に転じる |
昭和55年(1980年) | 27,507 | 10,647 | 65歳以上人口が1千万人を越える |
昭和60年(1985年) | 26,033 | 12,468 | 15歳未満人口が再び減少に転じる |
平成2年(1990年) | 22,486 | 14,895 | |
平成7年(1995年) | 20,014 | 18,261 | |
平成12年(2000年) | 18,472 | 22,005 | 65歳以上人口が2千万人を越える、と同時に15歳未満人口を上回る |
平成17年(2005年) | 17,521 | 25,672 | |
平成22年(2010年) | 16,803 | 29,246 | |
平成27年(2015年) | 15,864 | 33,422 | 65歳以上人口が3千万人を超え、15歳未満人口の倍以上となる |
表からは、近年、65歳以上人口が急増(調査開始時の10倍以上)している一方で、昭和60年(1985年)以降、15歳未満人口が減少し続けていることが分かります。
出生数
平成27年人口動態統計によれば、出生数は100万5,677人で前年の100万3,539人より2,138人増加しています。
しかしながら、出生順位別にみると、第1子は前年より増加したものの、第2子及び第3子以上では減少したとのことであり、依然として少子化は解消されていないといえます(参考:平成27年(2015)人口動態統計(確定数)の概況)。
第1子が増加したとしても、第2子以降が減少しているのであれば、将来的には、人口が減少することになります。
つまり、父1人・母1人から1人の子どもしか生まれないのであれば、将来的には、2人→1人ということになり人口減につながるわけです。
中国で急激な人口増加を抑制するために「一人っ子政策」が実施されていたのは、記憶に新しいところです(「一人っ子政策」は2015年の中央委員会第5回全体会議において廃止が決定)。
出生順位別にみた母の平均年齢
出産時の母の平均年齢について、人口動態調査の結果から、主な推移を以下に抜粋します(参考:平成27年 人口動態調査 上巻 出生 第4.19表 出生順位別にみた年次別母の平均)。
年次 | 第1子出生平均年齢 | 全出生平均年齢 |
---|---|---|
昭和25年(1950年) | 24.4 | 28.7 |
昭和35年(1960年) | 25.4 | 27.6 |
昭和45年(1970年) | 25.6 | 27.5 |
昭和55年(1980年) | 26.4 | 28.1 |
平成2年(1990年) | 27.0 | 28.9 |
平成12年(2000年) | 28.0 | 29.6 |
平成22年(2010年) | 29.9 | 31.2 |
平成27年(2015年) | 30.7 | 31.8 |
第1子出産時の母の平均年齢を、年次別に見ると、年を追うごとに明らかに高齢化していることが分かります。
また、第1子出産時平均年齢の高齢化は、第2子以降も含め場合の出産時平均年齢と比べても、その進行の度合いが顕著であることが読み取れます。
合計特殊出生率
合計特殊出生率とは、1人の女性が一生に産む子供の平均数を示します。
先進国が現在の人口を維持するのに必要な合計特殊出生率は、さまざまな要因を考え合わせた上で、おおむね2.07であるとされています。
日本の合計特殊出生率は、1.5をも下回っており、将来にわたって人口減となる状況が長らく続いています。
なお、2016年5月23日現在の資料では、平成27年の合計特殊出生率は1.46であると試算されています(参考:合計特殊出生率について)。
これは、前年を0.04上回る数値となっていますが、上でも述べたように、第2子以降の出生数は減少しており、依然として人口減の状況にあるものと考えられます。
最後に
ここまで見てきた統計調査の結果から、日本では、65歳以上人口が近年急増している一方で、15歳未満人口は減少しており、人口維持に必要な合計特殊出生率を確保できていないことや、女性の晩産化傾向が進んでいることが見てとれます。
国の人口が少なくなることは、それだけ国力が弱まることを意味します。
現在の日本は、総人口約1億2,700万人と世界で10番目に人口の多い国となっています。
しかしながら、人口減少社会を迎えた日本では、急激な少子高齢化に伴い、これからも人口が減少し続けることが予測されています。
日本の国力低下を避けるためにも、公務員を目指すみなさんには、ぜひとも少子高齢化対策に取り組んでいただきたいと思います。